一般人ですが"飛車"になります。 (ページ3)

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お兄さんのところまで歩いて、サッと状況を見た。だが、あまりにも失いすぎてる。

失った駒は戻ることはない。
それが"現実"だ。

貴「うわぁー、こりゃ酷いわ。」

「え、誰？！なんで一般人？！」

私がお兄さんの傷を見ていたら、それを支えていたヒーロー？の女の子にそんなことを言われた。彼女は"ウラビティ"と言うらしい。私の個性ってホント便利だな。

5歳くらいの時はよく分かんなくて"無個性"だって言ってたけど。

貴「この人病院に運ぶの？」

「う、うん。それより早く避難を!!」

貴「そっか、じゃあ私も連れてって負傷した〜。」

私はそんな妄言を吐いて彼の隣に居座った。

彼の体に少しだけ触れて、彼の"時間の進み"を少し遅くした。これが私の個性によるものなら私はとんだ強個性だよな。ジジイと将棋指してるから皆の次の手がよくわかるのさね。

あれが玉将ならもう王手だ。あれがほんとに玉将ならね。

貴「うわぁ、あの子の個性は"巻き戻す"かー。強いね。」

「え、なんで個性…。」

貴「ふふっ、企業秘密だよ。」

私はただそれが終わるのを待っていた。

そして、彼は病院に運ばれ私も病院に運ばれた。彼は下の階に運ばれ、私は普通に治療されてしまった。看護師さんがめちゃくちゃ優しかった。そして、可愛かった。

私が受付で看護師さんをナンパしていたら一人の男の子がお兄さんのいるところへ行こうとしたので、私はそっとついて行った。

「サー!!ナイトアイ!!」

彼はそう言って部屋の中へ入った。

あのお兄さんは瀕死の状態のようだ。そっと治して帰ろうと思ったがそうもいかなさそうだ。雄英高校の教師達に個性届を偽装したのがバレそうだけど、仕方ないよな。

ごめんな、ジジイ。せっかく隠してくれたのに。

貴「どいて、金髪のお兄さん。助けたいんでしょ。」

私がそう言うと、誰も私に気づいていなかったのかみんな目を見開いて私を見ていた。私は金髪のお兄さんを後ろにやって、ナイトアイさんに触れた。

貴「私の個性は"アクセス"。貴方の器官を補うのに必要な"要素"が足りないから、それを身体機能である"個性"で補う。了承するか？」

私がそう言うと、彼はそっと頷いた。

私は個性を行使した。普段ならば個性の無断行使は法律に引っかかるが、この場なら仕方ないだろう。免許がないからって人の命を見捨てられるほど私は外道じゃないからね。

きっとジジイは怒るだろうな。