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雨が280粒。 ページ8

息を吐き乍ら、ゆっくりと目を開ける。




先ず目に入ったのは紅い紅い血。でも其れ等は穢らしい。





理由はたった一つ。裏切り者の血だから。






私立受験である今日の夜も仕事に追われていた。学校で勉強した後なのに、とついつい愚痴を零したく成る。



だが、仕事の多忙さにも慣れてしまった。






「お疲れさん。敵は全滅だ。」





そう云って中也さんは頭を撫でてくれた。痛みを堪えて、中也さんもお疲れ様でした、と嗤って返す。







「後は任せて帰んぞ。報告しなきゃなんねェし、次の任務の計画も練らねェとな。」


「はい。」







後片付けやらは部下に任せて、一足先に拠点ビルに戻った。



取り敢えず首領に口頭報告して、執務室に行った。一応報告書も提出しなければ成らない。







「中也さん。」


「如何した。体調悪ィか?疲れたんなら寝てて善いぞ。」


「違いますよ。まぁ、疲れたのは確かにそうですけど。唯、其の疲れを中也さんに癒して貰おうと思って。」


「嗚呼、そういう事か。善いぜ、俺も名前で癒されてェ。」







中也さんの座る椅子に向き合う様に座らせられる。そして、抱き締め合う。






「中也さん、中也さん。」






彼の名を呼ぶ。存在を確かめる様に、何度も何度も。



其の度に彼はちゃんと答えてくれる。







「今日は如何したんだよ。甘えん坊っつーかなんつーか。抱き締める力も何時もより強ェ。」


「痛い?」


「全く。つか、甘えモード突入だな。」






敬語が外れて居たからか、そう云った。というか、其のネーミング……



まぁ、触れないでおこう。







「今日は甘えたい気分。」


「そうかそうか。よーしよしよしよしよし!」






強く抱き締め、狗が遣られる様にわしゃわしゃとされ、思わず嗤ってしまった。







「ふふっ。もう、中也さん何云ってるんですか?」


「元気付けてやろうと思ってな。此処最近、何か難しそうな顔してたしよ。後、哀しそうでもあったな。」







気付かぬ内にそんな顔をしていたなんて…。変に気を遣わせてしまっただろう。申し訳無いな。







「申し訳無いとか思うなよ?」


「え、何で判ったんですか…」


「顔に書いて有るからな。気にすんなよ、俺は何も気にしてねェ。」


「有難う…」






ン、と中也さんは嬉しそうに、でも少し照れ臭そうに云った。

雨が281粒。→←雨が279粒。



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バンビ(プロフ) - ぬうさん» いえいえ! (2017年4月5日 17時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - ありがとうございます! (2017年4月5日 16時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ぬうさん» 矢印を押してからアルファベットを打ったら出来ると思います! (2017年4月5日 14時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
ぬう - あの、パスワード認証の大文字の打ち方がわかりません。どうするんですか? (2017年4月5日 14時) (レス) id: 16fdde5e77 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - アオアオさん» コメントありがとうございます!!祝いの言葉まで!次も頑張って書きます! (2017年2月15日 21時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バンビ | 作成日時:2017年1月31日 21時

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