雨が141粒。 ページ3
誰かが私に近付いて来る音がする。顔を手で覆っているから、誰かは分からない。
誰だろうと思っていると、優しく抱き締められた。よかった、と声と共に。
其の人は、
「中也さん…」
「お前迄居なくなったら、どうしようかと思った。」
中也さんはタミフルの事は知っている。
なのに、本当に心配しているかの様に云うから、ごめんなさい、と謝ってしまった。
「手前は何も悪くねェよ。」
「でも、私がっ、私が藤本さんの何かしちゃったからっ……だから藤本さんは私に薬をっ、」
思い付きで出た言葉にしては上出来では無いだろうか。
そんな私を強く抱き締めた。
正直、痛い。お腹が。
「ちょっと中原、そんなに強く抱き締めたらお腹に響くでしょうが。」
ビッチ先生がそう云ったので、中也さんは慌てて離れた。
でも、本当によかった、と中也さんが云うので、教室は感動みたいな空気に覆われた。
そんな空気を壊したのは、
「死なないのはよかったけどさ、薬盛ったっていうのはケリついてないよ。」
赤羽君。瞬間、また教室が静まり返った。
本当に助かるよ、赤羽君。君はいい働きをしてくれる。私が何もしなくても、進めてくれる。
何時か、自分も罰せられる事も知らずに。
面白可笑しいよ、本当に。
でもね、赤羽君。今潰したら駄目なんだよ?だから、私は藤本を助けてあげる。
嘘泣きをやめて、
「あの、私は大丈夫だよ。私にも非は有ったんだと思うし、死なないのならいいの。」
と云う。
これで私の好感度は上がるでしょう?藤本のは下がるけど。
薬を盛られたのに赦してあげるいい子。
上がらない方が可笑しいよね?
「だがよ、名前。」
「中也さん、本当に大丈夫ですよ。藤本さんが全部悪いんじゃないんです。屹度、私もなんです。」
「ちょっと待ってよ!!何で私が薬盛った事になってるのよっ?!」
「あァ?此処迄来ても、白を切る心算か。」
「私は違うって言ってるじゃない!!何で信じてくれないの?!」
ねぇ、藤本。
これで漸と分かったでしょ?私の苦しみが。でも、これだけじゃ終わらないから、覚悟してね?
貴女は絶対赦さない。
「じゃあ、お前以外に誰がいんだよ。誰が盛るんだよ。」
「中也さん、私は大丈夫ですから。…藤本さん、私は大丈夫だから気にしないでね。」
そう云うと、藤本に頬を叩かれた。
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ベベンべエエェェ - 何か自分が恥ずかしいデス… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
ベベンべエエェェ - 私誰かが憎しんでる顔とか、絶望してる顔大好きなんですよね…何時の間にかドエスになってたり… (2021年9月14日 21時) (レス) id: ce3d8a7ebf (このIDを非表示/違反報告)
永眠(プロフ) - あの、すみません。この次の小説にパスワードが着いていて、書かれてある通りに打ったり、コメントでみたパスワードを書いたんですけど、開けなくて。どうしたらいいですか? (2020年7月8日 13時) (レス) id: b1f570929b (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - 零魔さん» コメントありがとう!!そう言って頂けて、嬉しい限りです!ありがとうございます! (2018年3月16日 9時) (レス) id: fcb4695207 (このIDを非表示/違反報告)
零魔 - 凄い! (2018年3月15日 22時) (レス) id: 8e0c5fded6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2016年12月29日 14時