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『ここで大丈夫なんで、』
家の少し手前辺りで頭を下げると
「ほんとに？」
私の事、小さい子供だと思ってるんじゃないか。
『バイト頑張ってください。また行きます』
「うん。大学でも声かけてね」
じゃあ、とヒラヒラ手を振る。
『…龍也さん、』
その仕草がどこか寂しくて、思わず名前を呼ぶと
ぎゅっと抱き締められた。
中村や如恵留さんと居る時は小さく見えるのに、こうして抱きしめられると男の人の身体だ。
すらりとついた筋肉も、高そうな香水の匂いも、ちゃらりと音を立てたアクセサリーも、
全部がずるい。
どうせ私の手には入らないくせにそんなフリをしてくれる。
優しいから。
だから龍也さんが嫌いだ。
「水族館、楽しみだね」
『…はい』
「それ、着てきてね」
『りゅやさ、』
名前を呼んで見つめ合うけど、
その先はない。
こんなに好きとか、可愛いとか、言ってくれるのに、
キスされたことは一度もない。
「ばいばい」
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えむ(プロフ) - ありすさん、ありがとうございます！ (2021年3月10日 21時) (
レス) id: 44227b13cd (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - このお話大好きです〜！！ (2021年3月6日 2時) (レス) id: fdf31cd958 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えむ | 作成日時：2021年3月2日 1時
