朧月の降る夜に／２ ページ39
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ーー×月２１日
昨日も知らない人が来た？今日の人と同じだったのだろうか。そうだ、これは日記なのだから、今日あったことを書かないと。…あの人は、私に色々な話をしてくれた。けれど何も思い出せないから、もしかしたらデタラメなんじゃないかと思う。〇〇先生はお医者さんなのに、私の診察はしないみたい。いつも哀れみを含んだ目で見てくる。あんまり、いい気はしない。
“ まるで月が降ってきそうだ ”
その部屋に足を踏み入れればいつも彼女は怯えた目をする。日記のようなものを抱えて、縮こまるようにシーツを握る。
「 あなたがこの、“ 知らない人 ”…？」
彼女が見せてくれたその頁にはぐちゃぐちゃとした筆跡が残っていた。以前の君の字とは違う、戸惑いと怒りと恐怖が入り乱れたモノ。よく見れば魔法がどうとか、あの人がこう言ったとか、事細かに記されているが、自分が昨日ボクのことについて何を書いたのかさえ憶えていないのだろう。
「 …そうだけド、ボクの名前は知らない方がいイ 」
あくまで自分を守るためである。名前を言わなければ、明日忘れられてもどうってことない。そう思っていたけれど、やはりその声で呼んでもらいたいという欲は抑えられなくて、逆先 と発音する前にいつも止める。その繰り返しである。喉が渇いて、君の声が聞きたくなる。
「 なんで… 」
「 それじゃア、何の話からしようカ？ 」
追憶は苦しい。思い出したくないことの方が先に思い出される。剰えそのような記憶の方が多いのに。けれど、“ 何も知らない人 ”になら、昔話として語ることができるだろう。少しでも手助けができるのなら、話さなくて後悔するくらいなら、伝えてしまった方が楽だろう。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました！ (2018年11月6日 0時) (
レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました； (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…！コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…！ (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました！ (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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