渡された帯 ページ32
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彼女は、"洗練された美"の花言葉から、"白百合"の名が与えられた。
もちろん、見習いから始まった彼女だったが、箏、三味線、舞踊、様々な芸事をいとも簡単に習得していき、観客の人気を勝ち取っていった。
それこそ、飛ぶ鳥…蕨姫をも落とす勢いで。
そんな状況に蕨姫が黙っている筈がない。
「アンタ」
後ろから蕨姫に低い声を掛けられた彼女はゆっくり振り向く。
「ちょっと、顔貸しな」
ーーーーー
「アンタ、一体何を考えてんだ」
蕨姫は彼女を睨みつける。
『何をって、何でしょう…?』
「それを聞いてんだよ…!
アンタだけが"違う"んだよ」
『……"違う"のはあんただよ』
目の前にいる蕨姫さえも聞き取れないくらいの小さな声で呟いた。
「あぁ!?」
蕨姫は彼女の肩を壁に押さえつけた。
それにも動揺せずに彼女は言った。
『私の一体どこが"違う"んですか?
…あなたの…
…思い通りに…ならないところですか?』
そう言って彼女が口角を上げると、蕨姫は口元を痙攣らせた。
「それ以上言ったら…殺すよ?」
『…すみません。
冗談が過ぎました』
彼女は表情を変えずに言った。
すると、蕨姫は表情を痙攣らせたまま、徐に懐から帯を取り出した。
「…まぁ、でも、新入りを歓迎しないわけにはいかないからね。
この帯やるよ」
『…』
彼女はその帯を見つめ、そして蕨姫に笑顔を見せた。
『ありがとうございます。
花魁にこんな美しい帯を頂けるなんて光栄です』
「…気をつけな。
私は、ずっとアンタを見てるよ」
『…はい』
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怜。(プロフ) - Ach1ch1さん» こちらこそありがとうございます! (2021年10月5日 13時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - ありがとうございます(^^) (2021年10月5日 8時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - 白い世界へのパスワードを教えていただきたいです。 (2021年10月4日 20時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 有紀さん» 白い世界へのパスワードをお伝えしていたのですが、コメント欄にてそのパスワードが誰でも見れる状態が続いていたので、消させていただきました…!すみません!もし確認されていないようであれば、もう一度お伝えいただけると幸いです! (2021年9月21日 23時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初コメがこれで失礼いたします。白い世界のお話を読みたいのでパスワードを教えて欲しいです!よろしくお願いします! (2021年8月30日 19時) (レス) id: 6e9316e3b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:怜。 | 作成日時:2020年6月26日 15時