正常ではなかった * ページ18
.
Aside
私は、奴らの様子を窺った。
そのうちの二人は、私を馬鹿にするように見下ろしている。
ここまではかなり距離があるから、油断しているようにも見える。
『…』
私は今真っ直ぐに立っていて、はたから見れば戦闘を始めるような構えではない。
だが、光の呼吸の壱ノ型には構えなど必要ない。
____光の呼吸・壱ノ型_光芒一閃
目にも止まらぬ勢いで迫り、奴が反応する前に頚を捉えた…と思った。
だが、捉えていたのは、
『っ!?』
忍の里にいた頃、気にかけていた弟のような存在…天宇の頚だった。
あの男が彼を盾にしたのだ。
…とはいえ、彼は鬼だ。
若干の動揺に震えた手にグッと力を込め、本気で頚を掻き切ろうとした。
だが、ただの雑魚とは違う。
頚が斬れたのは三分の二ほどだった。
その間に奴が私に向かって血鬼術を放つ。
「血鬼術・毒牙」
毒のクナイがいくつも私の身体に突き刺さり、その衝撃で背中から落ちていった。
しかし、落ちていくと同時に、既に奴の後方に投げていた自身の刀を鎖を使って引き込み、奴の頚を狙う。
___光の呼吸・陸ノ型_翠色冷光
だが、またも捉えられたのは天宇で、先程斬れていなかった三分の一を完璧に切断した。
『いっ!!』
私の身体がドンッと地面に叩きつけられたと同時に天宇の頚も横に転がってくる。
私の体に刺さったのは毒のクナイだったが、毒に慣らされている私は身体を奮い立たせて立ち上がった。
『っはぁ…
…っ!?!?』
「ククッ、遅ぇな」
いつのまにか背後にいた天樹(あまき)が私の脇腹をぐさりと刺した。
こいつは…心臓を狙っていた。
だけど私は瞬時に判断し、身体を捻らせ、辛うじて致命傷は避けた。
本当なら…
速さを得意とする私なら…
完全に避けることができていたはずだった。
それほど、このときの私は正常ではなかった…ということだ。
『ケホッ…
はぁ…はぁ…くっ』
確かに、私は毒に慣らされている。
それでも…
二人の鬼の毒、つまり、別の種類の毒に身体を侵された状態は身体が焼けつくように痛かった。
意識が飛びそうになりながらも、呼吸で毒の巡りを必死に抑える。
.
516人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
怜。(プロフ) - Ach1ch1さん» こちらこそありがとうございます! (2021年10月5日 13時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - ありがとうございます(^^) (2021年10月5日 8時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
Ach1ch1(プロフ) - 白い世界へのパスワードを教えていただきたいです。 (2021年10月4日 20時) (レス) id: 7c41a08aa3 (このIDを非表示/違反報告)
怜。(プロフ) - 有紀さん» 白い世界へのパスワードをお伝えしていたのですが、コメント欄にてそのパスワードが誰でも見れる状態が続いていたので、消させていただきました…!すみません!もし確認されていないようであれば、もう一度お伝えいただけると幸いです! (2021年9月21日 23時) (レス) id: 0029dd2ea6 (このIDを非表示/違反報告)
有紀(プロフ) - 初コメがこれで失礼いたします。白い世界のお話を読みたいのでパスワードを教えて欲しいです!よろしくお願いします! (2021年8月30日 19時) (レス) id: 6e9316e3b7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:怜。 | 作成日時:2020年6月26日 15時