【怪物事変】七転八起とは言うけれどこれは難しい (ページ10)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:15,229 hit

9話~嫌な新月の夜~ ページ10

　

貴女「………元々、雪山に住んでたんで

多分死んでます

会ったことないので」

まず男が少ないからいたとしても多分……

気が狂ってるあの人なんだと思う

ある意味私達の代は皆兄妹のようなもの…だもんね

隠神「成程ね……もし生きてたとしたら？」

生きてたとしてたら？

……そんな事考えた事も無かった

考える暇もなかったし、考えても直ぐに忘れてた

　

でも、生きてたとしても…私は夏羽のそばに居ることを選ぶ

と、思う

だって彼処はどこか異常……だったのを覚えてるから

　

貴女「会わない…と、思います……会っても意味が無い」

隠神「……そっか」

私がそう言うとお客さんは笑って私の頭に手を置いた

？何で笑うんだろう

　

　

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
夜

夏羽「……Aは危ないから中にいて」

貴女「でも……夏羽、私も」

夏羽「大丈夫、いつもと変わらない……だけだから」

夜になり新月の今日、いつもなら一緒に作業していたはずなのに夏羽が一緒に行かせてくれない

駄目……一人、だめ

そんな思いも虚しく、夏羽は私を館の中へ押してドアを閉めた

さっき弥太郎とすれ違った

弥太郎、酷く恨んでた……夏羽に手を出しちゃう

まだ扉の向こうには夏羽の気配がする

裏口だから人が来るのは早々にない、使うのは主に私と夏羽だけ、だから少し騒いでも誰も来ない

貴女「開けて……ねぇ夏羽、開けて…夏羽」

夏羽「嫌な予感がする、Aは傷付けない……ごめん」

　
ｶﾞｷﾞｬｯ

　

　

鈍い音がして裏口の掴んでいたドアノブがブラリと垂れ下がり壊れてしまった

夏羽が壊したんだ……駄目だよ夏羽、嫌な予感は私もするの

お願い…

　

　

置いて行かないで、夏羽

　

　

　

そうだ、隠神さん……隠神さんに夏羽の所に向かってもらえば、隠神さんなら何とかしてくれるかもしれない

隠神さん探さないと

　

ﾎﾞﾌｯ

　

「！……A、アンタ何廊下を走りよって」

貴女「夏羽……夏羽が…隠神さん」

「ちょ…A！？」

背後でおばさんの止める声が聞こえるけど、今は知らないフリ

夏羽……！！