204話 ページ10
清光「あの、主」
前を行く皆より少し遅れて歩いていた私は、それよりもっと後ろにいた清光の声で足を止めた
振り返ると、気まずそうな笑顔を浮かべた清光が涙の膜が張った赤い目を伏せて頬を小さく掻いている
清光「主、腕ごめんなさい。俺、だめだって、思って。でも勝手に、体…」
いつもより一層小さな声で清光は単語をぽつりぽつりと溢していく
清光「大事なのに。大事にしてあげたいのに。」
『清光、気にして無いし治っとるからもう大丈夫やに。…清光のせいじゃ無いんやよ。』
清光「それは、違う」
顔を上げた清光がやっとこっちを見る
張っていた膜は球になって白い肌の上を滑っていく
私はこんな綺麗な泣き方できやんわってぼけっと考える
だってまず口元が震えるし鼻はすぐ赤くなるし、目は充血して秒で腫れる
なんなら90%の確率で抜けた睫毛とか鼻水とかで悲惨なことになる
絶対こんなに綺麗に泣けない
『清光は綺麗に泣くね』
思わず呟けば、小さくなにそれって溢して口元が緩んだのが見えた
『引き留めたい気持ちが大きかったのもあると思うし、でもほとんどはまだ清光達の体に残る前の霊力のせい』
清光「前の?…前任?」
『そう。嫌かも知れんけど、でも私の霊力と入れ替わるまでまだまだ掛かるらしいんやん。もうちょっとの我慢してもらってもいいかな、ごめん。』
清光「謝らないで。謝るのは俺だから。今回の事は前任の霊力のせいだけには出来ない。」
『そうやったとしても、もうこれで終わり!気にしやんとこ!』
まだ何か言いたげな清光に近付いて手を触れば遠慮がちに握り返してくれたので、そのまま引っ張ってみんなの後を追う
『私さっきみたいに清光に説教?してもらえてちょっと嬉しかったんやに。』
追いつくために少し早足になりながら清光に今の気持ちを伝えてみる
清光はふわっとした笑みを浮かべてまた涙を流した
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ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - わたしは更新、いつでも待ってます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - 名無しさんさん» はい、これからも楽しんで読ませていただきます!!名無しさんは社会人と聞きました。どうか自分のお体をご尊重してください (2021年5月16日 10時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» コメントありがとうございます。嬉しい内容にやると決意できて良かった、また書きたいと思って良かったと思います。私の作品を読んでくれてありがとうございます!これからも楽しんでいただけたらなぁと思います! (2021年5月15日 20時) (レス) id: abe0f1ab0e (このIDを非表示/違反報告)
ネコマタさんのちょびひげ(プロフ) - こんばんわ。この作品が続いてくれると知って、とても嬉しいです!!どうか名無しさんのペースで更新してもらえれば。また続きが読める事に感謝します。ありがとうございます!! (2021年5月14日 21時) (レス) id: d3a88c7d37 (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん(プロフ) - 雪さん» コメントありがとうございます!好きと言ってもらえるのはとても嬉しいです!絡み前向きに検討させていただきますね! (2021年5月6日 13時) (レス) id: abe0f1ab0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:名無しさん | 作成日時:2020年1月9日 1時