【赤羽業】似たものカップル7【暗殺教室】

249話 ページ10

「ギブ。降参。」


「俺の負けだよ渚。」






俺の手から離れ、重力に逆らう事なくナイフは地面に突き刺さった。


渚の肩を優しく叩き、青チームに降伏する。


それでも渚君はオレの声が聞こえていないのか、腕に力を込めたままだ。


呼吸も苦しくなり、むせてしまったところで烏間先生が宣言を伝える。





「そこまで！

赤チームの降伏により青チーム…殺さない派の勝ち！」



「「おおっしゃああ！！」」






遠くの方から聞こえてくる湧き上がる歓声。


少し残念そうな表情を浮かべる赤チームの皆。




司令塔がこんな負け方してごめんな皆。



渚君には敵わない。



若干の申し訳なさを感じながら力を使い果たした渚君を横に寝かせる。




「素手でこんだけ根性見せた小動物を相手に…ナイフ使って買ったところで誰も俺を認めないわな。」




横におちていたナイフを刺せもしない。


かといって、渚君のあの拘束から抜けれもしない。




最初は追い込んでいた筈なのに、見事に降参せざるをえない状況においこまれたのは俺だった。




「ナイフを使わず格闘戦で俺に勝つ。

俺を殺すにはそれが最適解とはね。」





完敗だ。


やっぱり渚君は強いよ。


俺がどんなに頭を使っても、上手いように動かさるんだから。






「殺せんせーを助けたいんだろ？

言うこと聞くよ。」


「…いいの？
ホントに？」


「…ボコボコの顔でアホみたいな表情してんなよ。

伝染病にかかったネズミみたい。」




俺の言葉を聞いて不機嫌そうに眉をしかめる渚君に自然と笑いが溢れる。


さっきまで俺に格闘技を決めていたとは思えない程、表情が豊かでおもしろい。




少しずつ力の戻ってきた俺は足に力を込めて立ち上がった。


まだ字面に寝転がっている渚君に手を伸ばすと、1つの提案をする。




「てかさ。

いい加減俺ら呼び捨てで良くね？

ケンカの後で"君"つける気がしないわ。」



「ええ、今更呼び方変えるって…
それも変な気がするけど。」



「じゃ、俺だけ呼ぶよ。

それでいいの？渚。」




「…わかったよ。

…じゃ、カルマ。」





少し困ったような笑顔で俺の手を取る渚。


その手を引いて渚を立たせるともう一度2人で笑いあった。

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