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『なるせ、部屋着いたよ』
なるせ「ん〜」
男性の身体を完全に支えるのは思っていたよりもしんどくはなく、意外とすんなり彼の部屋に到着。
まだぼんやりとしている様子の彼に声をかけて、私は自室に戻ろうとしたその時、
なるせ「A、」
ベッドに寝転んでいたはずのなるせに腕を引かれ、重心が崩れてはぐらりと身体が傾きそのままシーツに身体が沈んだ。
…今日なるせに抱き寄せられたのって何回目だっけ、なんて考えられるくらいには頭は冴えていたはずなのに、心臓は酷く鳴っている。
『なるせ酔ってたんじゃないの』
なるせ「ビール半分しか飲んでないのに酔っ払うわけ。早くホテル帰りたかったから」
『策士め』
先程までフラフラ酔っ払いだったなるせは今は私の隣で普通に、至って普通に起きて話をできているから俳優とかになれるんじゃない?なんてこの場に不穏当な事を考えてしまった。
けれどやっぱり変わっていないのは、彼が私の事を抱き締めているということ。
『酔ってないなら離れない?』
なるせ「…無理」
『散々皆の前で抱き締めてたでしょ』
なるせの方へ視線を向けると丁度此方を見ていたなるせと視線が絡んで、彼の近さに心臓が大きく跳ねてしまう。
お互い眼鏡越しに視線を外せずに暫く黙ったまま見詰め合うという不思議な空気が流れた。
その沈黙を破ったのはなるせで、
なるせ「…眠い」
その一言だけ放って、私の方に体重が寄り掛かる。
私はそれを支えきれずに、所謂ベッドに押し倒される状態になってしまった。
『えっ、なるせ?』
熱っぽい視線が向けられ、目を逸らしたくなっているはずなのに逸らせなくて、ただ心臓の音だけが耳に届く。
ゆっくりとなるせの顔が私の方に近付いてきては、反射的にぎゅうと目を瞑ってしまう。
すると包まれたのは彼の香りで、首元に彼の息がかかって擽ったい。
なるせ「…このまま寝る」
『えっまってそれはだめ、私部屋に、』
普段あんなに寝つきが悪いはずなのに、こういう時は寝つきがいいこいつ。
規則正しい寝息が聞こえ始めて、私はここから動けないことを悟る。
ふわふわの髪が頬にあたって更に擽ったい。
なるせの寝息を聞いていたら、だんだん私も眠くなってきてしまう。
ゆっくりとそのまま私は微睡みの中に意識を手放した。
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ちょこ2(パソコン変わりました≪元ID 5ad0b4ef6a≫)) - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみにまってます!(´;ω;`) (1月26日 18時) (レス) @page40 id: c7ac99c812 (このIDを非表示/違反報告)
nyan(プロフ) - 雛さん» ご迷惑をおかけして申し訳ありません!Twitterのアカウントは 今回更新などお休みさせていただいていた際に消去したのでアカウントは存在しません… 先程パスワード公開をやめさせてもらったので閲覧できると思います!他の作品も更新しますので宜しくお願いします!! (2023年2月2日 21時) (レス) id: fb912efc07 (このIDを非表示/違反報告)
雛 - ここの書き込んでしまいすみません🙏弥雲さんの作品めっちゃ好きで、全部見てるんですけど、パスワード設定されている作品あるじゃないですか。弥雲さんのTwitterに何回とんでも垢が存在しないって出てて、パスワードわからないんですけどどうしたらいいですか? (2023年1月20日 21時) (レス) id: 212c043d64 (このIDを非表示/違反報告)
蓮華(プロフ) - いや、もう、ほんと、好きすぎて、、 (2022年1月16日 21時) (レス) @page35 id: 25ac245650 (このIDを非表示/違反報告)
弥雲(プロフ) - 雪猫と葛さん» 読んでいただいた上にコメントまでありがとうございます😢 嬉しいお言葉に思わずにやけました…雪猫と葛様もお身体お気をつけてくださいね!!これからもお付き合いよろしくお願いします🥰 (2021年12月17日 12時) (レス) id: 98855b1dbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:弥雲 | 作成日時:2021年8月30日 17時