【歌い手】例の歌い手…実は。2

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店員さんに紅茶を無駄にしたことを謝って、



お金を払って店を出た。



店員さんが出る途中に火傷を冷やすようにと保冷剤とタオルを渡してくれたが断った。



傘の存在も忘れて雨に打たれてきた道を歩いていく。



私のせい…？ そうだよね。



私が歌い手になったから。



私がいなかったら丸ちゃんは悲しませずにすんだ。



歌うことが苦痛。そんな気持ちにさせてしまうなんて…。



そういえば最近、仲のいい歌い手メンバーから連絡がこない。



あ、もう見捨てられたんだ。




なるほどね。




そうだ。電話しなきゃ。



「……もしもし。突然ごめんなさい。あの…離れるんじゃなくて…丸ちゃんのそばにいてあげてください。」



相手の返事も聞かず電話を切る。



こんなことしかできない。



多分、これは自分がいいことをしたなんて



気持ちになって楽になりたいだけだ。



…楽になると思っていたのに



変だ。



だんだんしんどくなる。



冷静になった瞬間、火傷の痛みを感じた。



痛い…。



「なーんにも…うまくいかないなぁ…」




努力したって無駄。



笑顔でみんなの求める私でいたって捨てられる。



捨てられないように頑張っていたのに。



『必要ない』



その言葉を今日どれだけ聞いただろうか。



楽しいって思ってたのは私だけだったの？



優しく接してくれてたのも嘘だったの？




目の前が霞んで見える。



泣く資格なんてないのに。



1人になってしまった。



痛すぎて感覚が麻痺しそうだ。

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