90話 ページ49
貴女｢10点取られたのなら、11点。100点取られたのなら101点。あちらより多く点を取ればいいだけです。泣き言言ってないで立ちなさい。試合は……まだ終わってませんよ｣
風丸｢でも江戸川！今の俺たちじゃ｣
貴女｢言ったはずです。試合はまだ終わってないと……プレイヤーが全員出ていないのに、ゲーム終了だなんて笑えますね｣
風丸｢え……まさか……｣
貴女｢選手交代です。体力消耗の激しい1年生誰か1人をベンチに。後半は私が出ます｣
その言葉に、ざわめきが走る。当然だ。自分達は既に怖気付き、試合を放棄したいとまで考えているのに対し、Aはあれほどの試合を見せつけられて尚、怖気付いた様子を見せていないのだから
貴女｢そうですね……。宍戸くん、少し休憩しましょうか｣
宍戸｢えっ！？俺、ですか……？｣
Aに名指しされ、戸惑う宍戸。諦めかけていたとはいえ、ここで先輩に、しかも女子であるAに任せて引き下がるのは気が引ける。そう思ったのだろう。しかし、そんな宍戸の心境はAにはバレバレだ
貴女｢宍戸くん、あなたは離脱するわけではありません。言ったでしょう？少し休憩だと……。あなたは他の子よりも特段消耗が激しいですからね｣
宍戸｢でも……先輩に……あんな試合に出させて怪我してもらいたくないです……｣
不安そうに、だが切実に……Aの事を心配する宍戸に、Aは微笑むと、諭すように優しく声をかける
貴女｢宍戸くん｣
宍戸｢は、はい！｣
貴女｢あなたが次フィールドに立つ時は……私が倒れたその時です｣
そう言って、彼らに背を向けフィールドを見据えるその姿は、非常に頼もしいものだった
_______________
フィールドに現れた人物に、ギャラリーがざわつく。後半開始直前、突如として現れた人間が校内で噂の美少女転校生だったからだ
角馬｢おおーっと！ここで雷門中は江戸川Aを出してきました！転校初日にファンクラブまで結成される噂の美少女転校生！さあ！江戸川は一体どんなプレーを見してくれるのでしょうか！そして、雷門中に反撃の風を吹かせる事はできるのでしょうか！｣
注がれる視線など諸共せずに準備運動を終えると、Aは帝国を見据えながら髪の毛を結び直す。そして、いつもはユニフォームの襟元付近に差していた水色のヘアピンを取り出し、前髪を止める
貴女｢(____、あなたは言った)｣
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作者名：ミニgirl | 作成日時：2021年10月15日 19時
