53話 ページ12
貴女｢と言っても、私は選手の方なのでサポートできることは少ないかもしれませんが｣
木野｢あ、ありがとうございます。あれ？今江戸川さん、選手の方って……もしかして｣
貴女｢……ええ、先程入部届を出してきました。今日のところは家族に何も言っていないので、これで失礼しますが｣
木野｢本当に……！？｣
貴女｢はい｣
木野｢ありがとう江戸川さん！本当にありがとう！！｣
貴女｢そんなに感謝されることでは……｣
木野｢ううん！だって、とっても嬉しいもの！あ、じゃなくて……コホン、これからよろしくね！｣
貴女｢はい、よろしくお願いします。では、私はこれで｣
木野と握手を交わしたAは、他の部員達の方を見る事もなく、部室を出て行き、扉をやや乱暴に閉めるのだった……
貴女｢はぁ、まったく……(でも、きっと大丈夫。何故かそう思うんだけど、ね……？)｣
_______________
サッカー部の部室をあとにしたAは、稲妻町のシンボルである鉄塔へと向かっていた。そこの広場から眺める景色はかなり良いと評判なのだが、もちろんそれを見に行く為ではない。町内にある監視カメラ映像をハッキングし、円堂が向かった先が鉄塔広場だと特定したからだ
貴女｢(……にしても、こんな所で何してるんだろ)｣
そう思いながらも歩いていくと、鉄塔広場で円堂と豪炎寺の姿を見つける。Aは咄嗟に木の陰に隠れ、2人の様子を見る事に
円堂｢あのさ、お前も聞いてるだろ？帝国学園との練習試合｣
豪炎寺｢！｣
円堂｢……でも、メンバー足りなくてさ……ずっと声掛けまくってんだけど……誰もやってくれないんだ……｣
豪炎寺｢……｣
円堂｢……なぁ！考え直してくれないかな……？｣
貴女｢(どうしてあそこまでして……)｣
豪炎寺｢……｣
円堂｢……なんで、なんで…辞めちゃったんだ……？良かったら話してくれないか……？｣
豪炎寺｢……｣
円堂｢……もったいないじゃないか！あれだけのキック！最初に見た時、俺、鳥肌たったんだぜ！辞めたのには理由があるんだろうけど、サッカー嫌いになった……っていうんじゃないよな？｣
貴女｢(そっか……円堂くんには分かってるんだ)｣
円堂｢好きでなきゃあんなキックはできないもんな！｣
貴女｢(豪炎寺くんの心の中に、サッカーへの想いがあるってこと)｣
豪炎寺｢……お前、よく喋るな｣
円堂｢俺さ｣
貴女｢(え、スルー！？)｣←
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作者名：ミニgirl | 作成日時：2021年10月15日 19時
