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「A。俺ずっとAのことが好き。」
「あ…や…」
「Aが川に流されて、高所恐怖症になってからずっと、俺がAを守るんだって思いながら生きてきた。小さい頃は正義のヒーロー気取りだったけど、段々守りたいって気持ちだけじゃなくなってきて、気づいたらもう恋心になってて。でも、Aは俺のことずっと幼馴染と思ってたでしょ？」
「だって、Nakamuだって、今までそんな素振り見せなかったじゃん…！」
「えー。誕生日にわざわざ休み合わせて出かけようとするとか、結構分かりやすくしてたと思ったんだけどなー」
「それは今日の話でしょ！」
「ほんとに心当たりないの？」
「それは…」
記憶の中のNakamuをできるだけ思い出す。会話から、仕草まで、全部。
私が共用の部屋にいる時には、必ず話しかけに来てくれたこと。私が休憩しているのを見つけたら、2人分のマグカップを持って隣に座ってくること。
一緒に動画を作れたら嬉しい、と言って声をかけてくれたこと。編集が終わった動画は、Nakamuが真っ先に見て褒めてくれること。
友達に誘われてるのにも関わらず、毎回2人っきりでテスト勉強をしていたこと。いい成績が取れたら、2人でご褒美のクレープを食べに行っていたこと。
中学生になって知らない人がたくさんいる学校に行くのが怖かったけど、Nakamuが連れ出してくれていたこと。初めて恋をした先輩に告白できずに卒業してしまったとき、たくさん話を聞いてもらったこと。
他の子にからかわれようと、Nakamuは決して私と一緒にいることを嫌がることはなかった。思い返せば、私の記憶の中には常にNakamuがいた。
それでも、今まで幼馴染として一緒にいたのは。
「…私、Nakamuに捨てられるのが怖かったんだ」
「…俺が？Aを？」
「昔から誰とでも仲良くできて、友達がたくさんいて、私じゃ釣り合わないと思ってた…だから、幼馴染って括りから抜け出さないことで、一緒にいるための理由をこじつけてた…」
「…俺、Aとこんだけ長い間過ごしてきたのに、情で付き合ってると思われてたってこと？」
「ちがっ…！」
Nakamuの声が明らかに悲しくなったのを感じて、胸が苦しくなった。違うのに。また涙が溢れそうになる。
ばちっと目が合った。涙目になった私を見て、Nakamuが少し意地悪そうに笑う。
「Aが鈍感なのは今に始まったことじゃないし、しょーがないから何回でも言うよ。俺は昔からずっとAが好き。Aは？」
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作者名：ピースラワー | 作成日時：2024年4月14日 19時
