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昔、私たち家族とNakamuの家族と一緒に川沿いにBBQに出かけた時、足を滑らせ川に流されてしまったことがあった。不幸なことにすぐ先は高さ10m強の滝になっており、そのまま流され落ちてしまったのだ。
しかし運良く落下地点に岩などがなかったこと、水深が深かったこともあり、私はほとんど無傷のような状態で救出された。
とは言っても、この日の出来事は私の心に深い傷を負わせたわけで。それ以降高いところに行くと、自然と足がすくんで動けなくなってしまう。酷いと意識を失うこともあり、今まで高所は避け続ける人生を送ってきた。
Nakamuの記憶にもこの日のことは大きなショックを与えたようで、私に対して過保護気味になるようになった。高所だけではなく、川辺にも一切連れていこうとしなかったし、どこに遊びに行くにも基本Nakamuが一緒にいた。
それでも過去に1度、高校の時の修学旅行でどうしても東京スカイツリーに登らなくてはいけなくなってしまい、めまいと過呼吸でその場で倒れてしまったことがある。幸い事情を知る同じ行動班であったNakamuがすぐさま助けにきてくれたのだが、あの日のことは何度思い出してもいい気分になるものではない。
こんな過去と思い出があることから、Nakamuは話題に出すのもはばかられるといった表情でこちらを伺ってきた。
「もちろんAのことは昔から分かってるから、連れ出そうって思ってるわけじゃないんだけど…せっかくの休みの日で、買い物に行く予定が入っていた日じゃん？そんなに長くはかからないらしいんだけど、下見の間放っておくのもちょっと…」
なるほど。おおかた買い物に行く日をズラしてほしいとかいうお願いだろう。そう思って私は口を開く。
「大丈夫。買い物はまた別の日に」
「いや！ちょっっっと買い物も下見もその日じゃなきゃダメっていうか…その…」
なんだ。珍しくNakamuにしては歯切れが悪い。それかあれか。普段企画を行っている私も一緒に、東京タワーを見に行った方がいいだろうという気遣いだろうか。
私が重度の高所恐怖症であることは、Nakamuが1番よく分かっている。でもそれ以上に、私も皆と同じようにワイテルズを大切にしていることを知っているはず。
今回のイベントも、すでに私も大きく関わっているし、もちろん妥協なんてしたくない。ならば答えは1つだ。
「じゃあその日Nakamuと一緒に私も行くよ」
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作者名：ピースラワー | 作成日時：2024年4月14日 19時
