ヒプマイ短編集5

俺のもん。【山田一郎】 ページ45

＊



山田一郎



｢ただいまー。｣



『あ、おかえりなさい！』



｢んー。…ん？｣



おかえり。そう言うAの手のひらには丸っこいものがいる



｢なんだそれ？｣



『あ、これはもちころの一郎さんです！』



｢どういうことだよ笑｣



Aによるとヒプノシスマイクで偶然出来た人形らしい。



｢もきゅー｣



｢動いてる｣



『マイクの影響ですかね？…というより一郎さんに似てませんか！この子！』



｢似てるか？｣



もきゅもきゅ言ってる俺似(？)の人形はAによく懐いている



『かわいい〜！一郎さんが小さくなったみたい！』



｢もきゅー！｣



ほっぺをくっつけてるA



｢ちょ、俺は…｣ﾎﾞｿｯ



＿＿＿＿『よしよし〜！』



｢…｣



あれからずっとAは人形を可愛がっていて俺に興味も示さない



｢そんなにそっちがいいのかよ｣ﾎﾞｿｯ



『へ？何か言いましたか？』



｢なんでもねぇ。｣



『なんでそんなに拗ねてるんですか』



｢拗ねてねぇ。｣



『拗ねちゃったー。どうしよう、ちびいちくん。』



なんだよ、ちびいちくんって。



｢もきゅー。…もきゅもきゅ！｣



『んー？』



頬をﾍﾟﾁﾍﾟﾁされたので振り向いてみると



ﾁｭｯ



『へ？』



唇にキスされた



｢もきゅ！｣



｢あーーー！！何やってんだよ！｣



すぐさま一郎さんに引っ張られて腕の中にホールドされる



『ちょ、一郎さ…』



｢いいか、ちびいちだか俺似の人形だか知らねぇがな、こいつは俺のもん。｣



ﾁｭｯ



人形に嫉妬して見せつけるようにキスしてやる



『ん、一郎さ…』



｢もきゅ！もきゅ！｣



人形はそんな俺に体当たりしてくる



…人形とはいえ一郎さんに見られているような気がして変だし恥ずかしい気分。



『あ、あの、』



｢…お前もお前だ。人形ばっかにかまって俺は放置かよ。｣



『嫉妬してたんですか？』



｢ちょっとな。｣



ｷﾞｭｰｰと少し強めに抱きしめられると寂しかったのが伝わる



『一郎さんが一番ですよ？』



｢知ってるけど。…嫉妬した。｣



『ふふっ笑 一郎さんいつもお兄ちゃんー！って感じするから嫉妬とか可愛いですね』



｢笑い事じゃねぇし。｣



ﾑｽｯとした顔で見られる



｢ほら、ちびいちも俺もかまえよ？｣ﾆｶｯ



｢もきゅっ。｣

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