一月で惚れさせてください 弐 【鬼滅の刃】

第拾仇日目 朝 【嘴平伊之助】 ページ27

嘴平伊之助





今日は朝から稽古を付けて欲しいと珍しく頼んで来た伊之助の所まで行く。



ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ…



『ごめんくださーーい！』



｢あらあら、いらっしゃいAちゃん。伊之助くんならまだ部屋にいますよ。｣



『ありがとうしのぶちゃん！』



今は蝶屋敷に住んでる(？)そうだ



『伊之助ー？』



部屋の襖を開けると



そこには べっと に横になっている伊之助がいた



『なんだなんだ寝坊かい？』



イノシシの被りものをとると



｢…っ、…んだ。Aか、稽古すんぞ｣



明らかにいつもと違う様子の伊之助が



『え、…もしかして』



そっとおでこに手を当てると



『熱い。』



『夏風邪かー。タチが悪い』



『ちょっとまってて、冷たい手ぬぐい持ってくるか
ら』


そう言うと目をつむる



手ぬぐいを持ってこねばと席をたとうとすると



ｷｭｯ



｢Aいくな。｣



弱々しい声で私を呼ぶ伊之助



辛いからなのか目はつむったままだが、どこか悲しそうだ



『でも、冷やすもの持ってこなきゃ』



｢離れて欲しくねぇ。｣



『…分かった。離れないからここにいるね？』



ｺｸｯと頷けば直ぐに眠りについた様子の伊之助



『…いつも任務頑張ってるもんね。』



思わず頭を撫でる



『あ、アオイちゃん！』



｢…？Aさんじゃないですか。どうされましたか？｣



『熱出しちゃったみたいで…』


＿＿＿＿＿＿＿＿



『…いつも任務頑張ってるもんね。』



ぼーっとした頭に優しい声が響く



(すげぇ体があちーし思うように動かねぇ)



するとまた、優しい手が俺の頭を撫でる



(…なんだこれ、ほわほわする)



だんだんと気持ちが落ち着いてくる



(寝みぃ。)



そこからはあんまりよく覚えてねぇ。



＿＿＿＿＿＿


昼前になり目を覚ますとAはいなくなっていた



｢A…！｣



何故かぞわぞわする。あいつが近くにいねぇと今は眠れないような気がして



『お！起きたか伊之助！』



｢お、おう｣



『熱は…え…嘘でしょ。もう熱くない』



｢俺様は山の王だからな｣



『へいへい。でも山の王でも風邪は引くんだからたまにはちゃんと服着なよ？』



｢かぜ？｣



『んーまぁ病ってこと』



｢わりぃもんか｣



『わりぃもんよ』



俺にとってはほわほわすることでしかなかったけど、わりぃもんなのか。



『よし、ご飯食べよ伊之助！』



｢おう！｣



撫でられるの嫌いじゃねぇ。

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