一月で惚れさせてください 弐 【鬼滅の刃】

第拾漆日目 夕方【冨岡義勇】 ページ13

｢雷音 リキト りくえすと 有難う。またしてくれると嬉しい。｣

＿＿＿＿＿＿＿＿＿


冨岡義勇






｢本当に有難うございました。隊士様！｣



｢おかげで傷だけで済みました。｣



『え、あぁ。いえいえ。仕事ですんで！』



屋敷に戻る帰り道



私は柄にもなく落ち込んでいた



『…』



亡くなってはいないとは言え、村の人達に傷を負わせてしまった



『亡くなってないから、いいんじゃないんだよ』



かすり傷も負わせないと誓っていたはずなのに。



何が柱だ。自分を殴りたい



『ﾊｧｰ…』



大きい溜息が漏れる



｢…どうした。｣



『わっ、びっくりした。義勇さんか』



｢溜息が聞こえたぞ｣



『まぁ、私だって落ち込む時くらいありますよ』



｢落ち込んでいるのか｣



口下手な義勇さんだけど、何か考え込んだ様子だ



そしてｽｯと近づいてくると



ｷﾞｭｯと優しく抱きしめてくれた



｢俺が思うに、だが。｣



｢失敗しないで生きていける人間はいない。｣



失敗から学ぶものだと。義勇さんは言った



｢俺だって、今までの人生後悔が多い｣



それでも刀を握り続ければいけない



一人でも多くの命を救わなければならない



俺たちは柱で。その前に一人の隊士なのだから。



｢悔しかったのなら鍛錬をしろ｣



『…っ、はい。』



この人もまた、たくさんのものを背負って生きている。



私がこんな所で落ち込んでいるわけにはいかない



『一人でも多くの命を守れるよう、精進します。』



そう言うと少し顔が綻んだ気がした



｢…あぁ。｣



あぁ。そうか。きっと義勇さんなりに励ましてくれたんだろうな



優しいですね。義勇さん



…なんの事だ



またまたぁ



何か食べたいのあります？



鮭大根



そればっか笑



明日も明後日も。そのまた先もずっと



平和な世を守るために刀を振るおう。

第拾漆日目 夜 【竈門炭治郎】＊→←第拾漆日目 朝 【伊黒小芭内】＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す