特別短編集〜バレンタヰンデー編〜 ページ46
「ば、ばれんたいんでー？」
何ですか、其れ。という言葉は言えなかった。
待ってました、と言わんばかりに香山さんが目をキラキラと輝かせて教えてくれた。
……好きな人に ちょこれいと を送る日。
而も、この『好きな人』に指定は無いそう。
友人として 『好きな人』
同僚として 『好きな人』
仲間として 『好きな人』
恋人として 『好きな人』
何とも曖昧で数多と存在する『好きな人』。
クルクルと湯煎で溶かした ちょこれいと を混ぜる香山さんが、 ちょこれいと から目を離さずに私に話を振る。
その溶けた ちょこれいと を様々な型に流して、冷蔵庫に入れるという簡単な作業を任された私は、手を止めずに応えた。
香山「Aちゃんも一人や二人いるでしょ？『好きな人』」
「確かに、友人や仲間として『好きな人』はいますけど………。
私には恋人で『好きな人』はいませんよ」
私の其の返答が予想外だとでも言う様に香山さんは目を見開いて此方を見た。
香山「え？だって、その
「私、恋人は『好きな人』じゃなくて、『愛寵する最愛の人』ですから」
首に下がる指輪をギュッと掌で包む。
何時の日か、あの人から指輪を渡された時の事が昨日の事の様に思い出せる。
顔が煮沸した様に熱く感じて俯いた。
香山さんの顔が見れない。私は、なんて恥ずかしい事を言ってしまったんだ！
笑う香山さんと共に甘ったるい匂いの中で、私は紅い頬を隠す様に ちょこれいと を型へと流し込んだのだ。
『私は、最愛の人が好きだと云った、花を一瞥した。
一晩しか咲けない花を何故、あの人が好きだと云ったのかは分からないが、部屋中に広がる甘い匂ひが私の鼻腔を擽る。
甘い甘い其の匂ひは、遠く異国から伝わった ”猪口齢糖” と同じくらい甘いと嗅いだ事もない私は思ふ。
酔いしれる様に私は肺一杯に甘い匂ひを吸い込むと、目を閉じて窓から覗く満月を見上げた。
月の光に揺れる花は美しかったが、あの人に好かれていると思ふと、憎らしくも見えたからだ。』
AA 『月下美人の噺』 より抜粋
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今回は香山さんの回でした。
なんだかんだ、香山さんは面倒見の良いお姉さん的存在だと思うんですよね。
皆様、Happy-Valentine!!
特別短編集〜桃の節句〜→←特別短編集〜にゃんにゃん祭り〜(作者の息抜きです、マジで済みません)
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無自覚サイコパス(プロフ) - ほのかさん» 喜んで(?)頂けて良かったです。では、夢主さんからどうぞ、「“死んでも良いわ”ってあの人に今でも伝えたいの。ほのかさんも、想いは何時でも伝えた方が良いわよ？」ほのか様、コメント有難う御座いました！！ (2017年12月25日 16時) (
レス) id: d954a9a9d2 (このIDを非表示/違反報告)
ほのか(プロフ) - 月が綺麗ですねぇぇぇ(´；ω；`)ｳｩｩ (2017年12月25日 15時) (レス) id: ac7138ced7 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - 無自覚サイコパスさん» とある事件！！楽しみです！！頑張って婚約者を推理するぞー！！！ (2017年10月16日 13時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
無自覚サイコパス(プロフ) - チェリー☆拓郎さん» ヒントですね。答えは、とある事件の時に出そうと思ってますから結構後になります。頑張って婚約者を推測してみて下さい！ (2017年10月15日 23時) (レス) id: 96a0b03bdb (このIDを非表示/違反報告)
チェリー☆拓郎(プロフ) - ヒントか！！三文字なのか！！！！？？？？ (2017年10月15日 21時) (レス) id: ad3a02f993 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無自覚サイコパス | 作成日時：2017年9月26日 22時
