98錠 ページ9
side:轟焦凍
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くるりと振り向いたその顔には困ったような笑みが携えられていた
…やっぱり 似ている
無意識に薬師神と重ねていると
ちょっとついてきて、と2階へ誘われた
「敵がここを襲った時、僕はいなかったんだ」
本当に後悔したよ、と悔しげな声が 階段を踏む音に混じって微かに聞こえた
…そういえば 薬師神は目的を知らないと言っていた
確かに、金目当てで狙うならもっと良い別の場所があったはず
疑問に思うのも 頷けることだ
2階もまた、変わらず洋風な雰囲気だった
白衣のポケットから出てきた鍵も映画に出てくるようなアクセサリーじみたもので
細やかな所にまで誰かの嗜好に染められているようだった
かちゃりと軽い音を立てて開かれた部屋の中には 管が繋がったベッドが寂しく置かれている
やけにアンバランスな光景
そこに横たわる影に、息を呑んだ
「死んでるみたいだけど、まだ心臓は動いてるよ」
静かに歩み寄ると 余計に不思議に思えた
まるで息をしていないように、目を閉じたままじっと動かない
カーテンから漏れる光が
ベッドに散らばる金の髪を柔く光らせていた
瞳の色が認識出来なくても、パーツの位置は 見知った顔が映る鏡のようで
大人びてはいるが、彼女の母親であることは 容易に分かることだった
｢眠ってる…ってことですか｣
｢そう、咄嗟に個性の発動調整を誤ったみたいで どう手を尽くしても目覚めなかった｣
｢…個性？｣
｢毒を操る能力って言えばいいのかな｣
化学物質を水分に含ませることが出来る個性と複合して、彼女の個性になったと言う
確かに毒も調合できるという話は 聞いた記憶がある
随分と綺麗に合わさった能力だ
自分にも 少し重なる部分を感じるほどに
｢母親は死んだ、なんてAが言うのは 彼女が眠る前に 娘にそう頼んだらしい｣
記憶はあまりないのに、そこだけはしっかり覚えて、まだ守り続けてるみたいだ
微かすぎる寝息を立てる 青白い手に触れて、呟きに近い言葉を零す姿は
すぐに涙を流してもおかしくない脆さを潜めていた
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しおり(プロフ) - 凄く面白かったです！ (2020年5月9日 10時) (
レス) id: 88ef928d1d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢(プロフ) - 爆豪勝己の方のパスワードおしえてください！！！(☆´_ _)ﾍﾟｺﾘ (2019年5月16日 21時) (レス) id: 28399f0f04 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 続き楽しみです！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: ea150721a5 (このIDを非表示/違反報告)
しの(プロフ) - あやりずさん» ありがとうございます…！！(；；)亀更新ではありますが、完結まで楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 98425ad901 (このIDを非表示/違反報告)
あやりず(プロフ) - 面白いです！！轟くん大好きなので…wこれからも更新頑張ってください〜！ (2017年12月28日 22時) (レス) id: 701a0aacb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しの | 作成日時：2017年10月13日 20時
