97錠 ページ8
side:轟焦凍
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｢…驚いた。まさか娘よりも先に頭を下げられるなんて｣
肩に そっと、手が乗った
頭を上げてくれ、と困ったように頼まれて見上げると 穏やかな笑みが視界に映る
｢えっと…轟くん、だっけ｣
｢…はい｣
｢少し、話を聞かせてくれる？｣
.
机にマグカップがふたつ並ぶ
黒いコーヒーから白く湯気が立って、空間に香りが漂った
薬を売る場所には まるで見えない
一通り 薬師神の言葉を辿るように伝えた
母親の話題に差し掛かった途端、少し空気が変わるようだった
カップに口を付ける手が止まり
見慣れた翡翠色が、こちらへ向いた
｢…母親は死んだって言ってたのかい？｣
｢？はい｣
｢…そっか｣
はは、と困ったように微笑む
…決して笑うところではないと思うが
｢君は随分娘のお気に入りみたいだ｣
｢…どういうことですか｣
｢僕にはそう見えるよ｣
全て分かりきったような口振りだった
それ以上、言及はする気も起きず
気になるモヤをコーヒーで流した
ただでさえ 居心地の悪い関係だというのに、やけに気まずい沈黙が通った
秒針や、多少の動作で起きた音だけが 響いて
さっさとカップを空にしたいとまで思った
そんな中不意に、彼が立ち上がって 扉にかけていたプレートを裏返す
Openの文字が 内側になった
なんのつもりだ、と白衣を纏う背中を見つめていると
独り言のような呟きが 空気を震わせた
「Aの母親は死んでないんだ」
耳を疑うほど、自然な言葉だった
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しおり(プロフ) - 凄く面白かったです！ (2020年5月9日 10時) (
レス) id: 88ef928d1d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢(プロフ) - 爆豪勝己の方のパスワードおしえてください！！！(☆´_ _)ﾍﾟｺﾘ (2019年5月16日 21時) (レス) id: 28399f0f04 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 続き楽しみです！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: ea150721a5 (このIDを非表示/違反報告)
しの(プロフ) - あやりずさん» ありがとうございます…！！(；；)亀更新ではありますが、完結まで楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 98425ad901 (このIDを非表示/違反報告)
あやりず(プロフ) - 面白いです！！轟くん大好きなので…wこれからも更新頑張ってください〜！ (2017年12月28日 22時) (レス) id: 701a0aacb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しの | 作成日時：2017年10月13日 20時
