91錠 ページ2
side:轟焦凍
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面会時間が許す限り、母親と話した
暗さを帯びた空の下 さっさと帰途につこうと気持ちのせいか軽くなった足を進める
10年近くの空白は物凄く高い壁だと勝手に思っていたが、案外そんなものではなかった
むしろ幼少の頃からお母さんというものが抜け落ちていた俺にとって
その存在は 変わっていないもので
それよりも、気になることがあった
長いとも形容出来ない程度の母親の髪が どことなくあいつと重なって見えたこと
病室に入った瞬間、彼女の声と丁寧な口調が耳に入ると一瞬勘違いしてしまった
それだけ 薬師神Aという少女が胸の内に占める割合が大きかったのは、自分のことながら少し驚いた
確かに、突飛な存在ではあったと思う
誰かの世話を焼くなんて 自分らしくはないと違和感を覚えながらも
彼女のことを放っておけないのだ
不運に巻き込まれることの多い、普通の少女
…いや、普通と呼ぶにはあまり相応しくはないが
彼女の時折見せる瞳が、溺れさせるように俺の息を止める
その度に平静を装うが 呼吸を乱されるのは正直不愉快なはず、だった
どうも嫌に思えないのが 余計に意味を分かりづらいものとしている
未だに見いだせない答えを考えていた
車が行き交っている道路を挟んだ向こう側
やけに目を引く可愛らしい店にふと視線を向けた途端、足が止まった
｢…薬師神？｣
丁度脳内に浮かべていたあいつは 俺が言うのもなんだが、金髪に翡翠のような瞳をしていて割と遠くからでも目立つ
間違えてはいないだろう、と軽く目を凝らしてみた
彼女は眉を寄せて誰かと口論しているようで いつもの淑やかさを微塵も残していなかった
あんな表情を見せるのは、爆豪と戦った時以来じゃないか？
端麗な顔立ちが歪むのがもったいない、なんて思うのは変だろうか
知り合いの違和感を放っておくことなど出来ず、無意識的に信号を渡って その店へと入っていった
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しおり(プロフ) - 凄く面白かったです！ (2020年5月9日 10時) (
レス) id: 88ef928d1d (このIDを非表示/違反報告)
霊夢(プロフ) - 爆豪勝己の方のパスワードおしえてください！！！(☆´_ _)ﾍﾟｺﾘ (2019年5月16日 21時) (レス) id: 28399f0f04 (このIDを非表示/違反報告)
雨 - 続き楽しみです！ (2018年1月20日 19時) (レス) id: ea150721a5 (このIDを非表示/違反報告)
しの(プロフ) - あやりずさん» ありがとうございます…！！(；；)亀更新ではありますが、完結まで楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2017年12月29日 11時) (レス) id: 98425ad901 (このIDを非表示/違反報告)
あやりず(プロフ) - 面白いです！！轟くん大好きなので…wこれからも更新頑張ってください〜！ (2017年12月28日 22時) (レス) id: 701a0aacb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しの | 作成日時：2017年10月13日 20時
