冨岡さん、人違いです！【鬼滅の刃】

いつも居る人 ページ21

「「『かんぱーい！』」」

ただいま、合コン中です。
最近冨岡さんとか冨岡さんとか冨岡さんとかがいて行けなかったけど
誘われたので来ました。

冨岡さんは会ったらめんどくさいことになるだろうから
そーっと部屋を出てこっそり…ね。


「Aはね、すごいお酒強いんだよ」

『そんな大したことでもないから。酔いにくいだけ』

「えー、すげえじゃん！俺超弱いんだよね」

確かに。すでに顔が赤い。

冨岡さんも、ああ見えて意外に弱いんだよなあ。
顔には出ないけどトンチンカンなこと言うし。

「柏原ちゃん？」

『ん、あぁ、ごめん…聞いてなかった』

駄目だなあ、こんなところでも考えるなんて。

いつも一緒にいるのが当たり前だったから
なんとなく、変な感じだ。


さて、いつものごとく収穫はないと思われた合コンだったが、予想は裏切られた。

「いいだろ、行こうぜ」

私のことをやたら気に入ってくれた人がいた。
二次会と言い張って二人きりの食事にまで誘われる。

友達はよかったじゃん〜とか無責任なことを言うし困った。

『いや、今日はもう遅いし、また今度…』

「なんだよ…じゃあ連絡先教えてくれよ」

引き下がってくれそうにないので仕方なく携帯を出す…と

『わ、何これ』

大量のメッセージが来ていた。冨岡さんだ。
そして、ちょうど電話がかかってくる。

ナイスタイミング！

『あ、ごめんなさい…もしもし？』

「柏原さん、どこにいるんだ」

『えーと、飲み会してたの。あぁうん、今から帰るね…
すみません、早く帰らなくちゃいけないので！』

相手が何か言う隙を与えずに駆け出す。
半ば強引だが、切り抜けられた。


『ただいま〜』

「お、おかえり」

冨岡さんはアパートを出て、きょろきょろしていたが、私を見つけるとすぐにやってきた。

『そんなに心配しなくてもいいのに』

「それはそうだが…いつもいるからな、柏原さんは」

『確かにねえ。って、冨岡さんがついてくるんでしょ』

私のツッコミはスルーされた。

「家族から果物が届いたんだ。柏原さんもどうかと思って」

『本当？ありがたくいただきます！』

街灯が並んで帰っていく私たちの影を長く伸ばした。

しばらく合コンはやめとこう。

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