冨岡さん、人違いです！【鬼滅の刃】

サッカー ページ19

「あ、この前のおにいちゃんたちだ！」

『あ』

この前の野球少年たちだ。
相変わらず元気そうで何より。

「にいちゃんたちサッカーできる？」

「次はサッカーか」

冨岡さんは伸脚をしだす。やる気だこの人。

『私は見とくからね』

「えぇ〜ホームラン王のねえちゃんもやろうよ」

『その呼び方すごく心外』


「やばい！あの兄ちゃんメッシか？」

相変わらず冨岡さんのスポーツ万能ぶりには驚かされる。
本格的にアスリートを目指してみては？

『がんばれ少年！冨岡さんに負けるな！』

健気に奮闘する少年たちにエールを送ると
冨岡さんが目を見開いて私を見た。

なんで俺を応援しないんだ、って顔だ。

と、その隙に少年がボールを掠めとる。

『いいぞ〜、そのままシュート！』

サッカーボールがゴールに勢いよく飛び込んだ。

『よっしゃー！』

立ち上がって喜ぶ私。
ショックな顔で立ち尽くす冨岡さん。

「やった！にいちゃんに勝った！一点取ったよ俺！」

「このまま逆転だ！」

既にかなりの点差をつけられているにも関わらず気合十分な少年たち。

「逆転といえばAねえちゃんだ！」

『…え？』

「そうだそうだ！奇跡の女神！」

私のまぐれホームランは子供たちの記憶に強烈に残っているようで、突然の指名を受けてしまった。
そのまま芝生の真ん中に押し出される。

『い、いやちょっと』

「柏原さん…手加減はしない」

してよ！


こちらに蹴り出されたボールを受ければ、もう激戦区の中心地だ。
子供たちが群がって足を出してくる。

「ねえちゃんパス！」

苦し紛れに出したパスは転がって、簡単に相手にまわる。

「駄目だ、やっぱショボい」

おい少年、ボソッと言ったつもりかもしれないが聞こえてるぞ。

またもやボールがまわってくる。
よし、ノーマークだ。このまま少年にパスを…

『！？』

突如迫る背の高い影。

「そうはさせない」

『と、冨岡さん』

「俺を追い越してみせろ。贔屓のチームのために」

さっき応援しなかったこと根に持ってる…

考えろ、考えろ。
冨岡さんに勝つなんてほとんど無理だけど、万が一がある。

だって私は奇跡の女神だから！

「ねえちゃんパース！」

ボールを足でつつく、と、冨岡さんがボールを奪いに来る。


させるか！

無我夢中で足を動かした。

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