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カウンター越しで、座ってください、って言えば『ありがとうございます』って目を合わせられる
思えば、今までどんなに冷たく突き放しても、真っ直ぐわたしの目を見て話を聞いてくれていた
「わたし、彼氏なんか居ないんです…彼氏がいるか、って質問来た時、好きになるのが怖くて、嘘をついたんです」
「だって、ジョングクさんもやたらと近付いてくるし、テヒョンさんと交流があったから、からかわれてるのかも、って思ってて」
「…ジョングクさんが、そういう人じゃないって言うの、私はわかってました。でも、わざと冷たく突き放してました」
ごめんなさい、と頭を下げ、それと同時に垂れてきた髪の毛を耳にかけて、ジョングクさんの方を見る
「迷惑だなんて、全然思ってないです…嫌いなんて、全く」
「…好きだって言ってくれた時も、すごい嬉しかったんです」
ジョングクさんの大きな瞳は、薄暗い店内を照らす照明のせいか、少し潤んで見える
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「…全部、わたしのワガママな嘘でして…」
あとは、あとは何を伝えたらいい?
ジョングクさんに伝えなきゃいけないことなんて、沢山ありすぎて
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JK「俺の事、好きですか?」
ほら、そうやっていつも嫌なぐらい真っ直ぐ
もういっそ、これなら嫌って欲しいぐらい彼への気持ちがどんどん大きくなっていて
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「…ううん」
彼の顔が見れなくて、俯いて
また、見え見えな嘘をついて
JK「…それも、嘘なんですよね?」
心做しか、少し震えた声は、私の涙腺を刺激して
JK「あっ…ごめんなさい、ヌナ。困らせるつもりじゃ…ごめんなさい」
困らせてるのは、どう考えても私の方なのに
年下にこんな気を使わせて情けない、なんて思うけど
当のジョングクさんは、慌てながら、私の方に伸ばしかけた手を戻したりしている
「…私のこと、嫌いになった?」
最後まで、私は臆病だ。彼の問いに答えずに逃げて。
JK「そんな訳ないでしょ。嫌い、なんて全く」
わたしの言葉をそのまま用いて、返しながら、わたしの目から溢れる涙を指で拭う
JK「ヌナが、こんなに泣き虫だなんて初めて知りました」
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JK「ヌナはあまのじゃくだね」
そう言って私の目の前で、彼は泣きそうに笑った
Fin
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作者名:ましろ。 | 作成日時:2022年7月1日 19時