01.一目置かれている、彼の存在 ページ2
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強制連行。窓からこっちを見て、不機嫌そうな顔をして私にそう言った人は
この学校で知らない人はいない、一目置かれる存在の人。
こっち来いなんて言われたから来たけど、そういえばこうやって二人で話すのは初めてのような気がする。
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少し、緊張。
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「…あの、これはどういう」
和也「楠、お前見ただろ」
「はい…？」
和也「俺がここで寝てたの！」
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彼はそう言いながら、ソファに座る私にココアを入れてくれている。
この数学準備室には、入学して一度も入ったことはなくて入るのは今日が初めて。
しばらくして「どーぞ」と目の前のテーブルにココアを置いた彼は、元々飲んでいたんだろうコーヒーを新しく入れ直して、一口飲んだ後マグカップを置いた。
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彼が、私の目の前に腰掛ける。
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「…いやあ、見ましたけど、見たからといって別に…」
和也「問題は無いと？」
「はい」
和也「うん、まあ？ただ寝てただけなら、なーんの問題も無いんだけどさ」
「…だけど？」
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ん？と首を傾げる。
そんな私をじーっと見つめる彼を見る。こんな近くで顔見たことなかったけど、相当綺麗な顔してるんだなこの人なんて。そんなことを思ってたら
ニヤリ、と笑った。
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和也「実はさ」
「…」
和也「会議、めんどくさくてサボっちゃったんだよね」
「…え？」
和也「だから、バレたらやばいの」
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はは、と呑気に笑ってポケットから携帯を取りだしていじっている彼を見ながら
私はなんだこの人、と言葉を失った。
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「…行かなくていいんですか」
和也「うーん、そうだねー。そりゃあ行った方がいいだろうね」
「会議って、そんな簡単にサボれるんだ…」
和也「ダメに決まってるじゃん、仕事だもん」
「でもサボってる」
和也「そ。だから、そーんなサボってる最中の俺を見た楠は、共犯なわけ」
「へ？」
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共犯。その二文字が私の頭の中にドーンと入り込んでくる。
共犯…私が？
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和也「もしバレたら楠のせいにするからな」
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空いた口が塞がらない私をよそに、そう言って高校三年の私を困らせた相手は
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紛れもなく、二宮先生だった。
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02.変な人。二宮和也。→←00.あの世界で起こった、愛おしいお話
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作者名：向日葵
| 作成日時：2019年11月3日 23時
