165.全部、分かってた ページ12
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波が行ったり来たりを繰り返している海には、誰もいなくて
そこには私と部長、たった二人きりの世界が出来上がっていた。
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智「砂…汚れちゃうね、可愛いブーツ履いてるのに」
「大丈夫です、払えば取れます」
智「ほんと？なら良かった。」
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最後に行きたい所あるんだよね、と部長が連れてきてくれたのは、私達の会社から少し離れた海。
車を降りて、歩きにくい砂浜を部長に手を取られながら歩くと、ちょうど二人の大人が座れそうな木の椅子があって
そこでいいか、なんて言いながら二人で座る。
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寒空の下、海になんて来たら普通凍えそうなほど寒いはずなのに、何故か、温もりで溢れている身と心。
部長に告げなくてはいけない。あの日から今日まで言えなかった事を、ちゃんとこの人に伝えなきゃいけない。
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ドキドキと高鳴る胸が邪魔をしながらも、私が話そうとしたその瞬間
朝からずっと繋がれていた手が、離れる。
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胸の奥で、鈍い、音。
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智「は〜、今日一日ほんっとに楽しかった。ありがとね、A」
「…私も。めちゃくちゃ楽しかったです」
智「それ聞いて安心した、良かった〜。ま、俺が連れ回したようなものだけどね(笑)」
「大丈夫です、こんなに笑ったの久しぶりだったし」
智「…本当だね」
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手が離れたことに、少し寂しさも感じたまま部長が話す言葉を聞いていると、次第に部長の声が優しくなっていくのを感じる。
その姿に、なぜか感じる違和感。何かがおかしい。胸がざわつく。喉の奥がズキズキと痛む。
ーー…いや違う、この人は、部長は、智さんは。海を見つめて、笑ってるように見えてきっと
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智「A、俺ね。…ずっと、Aのことが好きだった」
「…」
智「失敗したり、泣いたり、怒ったり、笑ったり。そうやって、一つ一つ壁を乗り越えて、また強くなるAを守りたいって思ってたの」
「…」
智「Aの恋人になれて、俺めちゃくちゃ幸せだったよ、ありがとう」
「…部長」
智「でもね、もう俺疲れちゃった。恋愛って、俺やっぱり向いてないのかも(笑)だからね」
「…ぶちょ」
智「A」
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ーー…泣いてる。
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智「俺と、別れてください」
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166.君が考えていたことにもっと前に気付いてたよ（11/8UP↓）→←164.貴方の笑顔が、心に矢を刺す
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向日葵(プロフ) - アカネさん» アカネさん最初から読んで下さるなんて嬉しい（；＿；）ほんとに部長〜って感じですよね、、大野部長ファンを敵に回した予感。（笑）嬉しいです、ありがとうございます(*´ω｀*) (2019年11月7日 19時) (
レス) id: 90ffcc1b58 (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - こんばんは^_^最初から読み返してしまいました。笑笑 部長〜〜(´；ω；`)別れの決断ですね。まだまだ楽しみにお待ちしております(o^^o) (2019年11月7日 17時) (レス) id: eb4bbe80ec (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 智美さん» 智美さん長い期間待たせてしまい申し訳無いです(TT)私自身、本当にそう思いながら書き進めています(TT)どうかカプミルに出てくる全員がそれぞれどういう道を選んで歩き出すのか、見守ってやってくださいね♪ (2019年8月14日 1時) (レス) id: 90ffcc1b58 (このIDを非表示/違反報告)
智美(プロフ) - 更新ありがとうございます(T-T) なんかもう皆の思いを考えるたら切なすぎて胸が苦しいです。どうか報われる日がきますように！ (2019年8月13日 1時) (レス) id: 7375d0c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：向日葵
| 作成日時：2019年8月9日 21時
