お侍さんたちの短編集 2 (ページ29)

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78.嶺亜様のお気に召すままページ29

俺の好きな人は、すっごく気まぐれ。

その気まぐれが俺としてはいいんだけど、ときどき心臓がもたないんじゃないかってくらい、ドキドキをいっぱいさせられる。

今日もたまたま二人っきりだったから、俺のとこにとことこきて、膝の上に座ったかと思うと、

「ちゅー、したい？」

なんて言うもんだから、一瞬、心臓が止まるかと思っちゃった。

もちろん俺の答えはイエスなわけで、緊張しながら軽くキス。

本当はもっと貪欲に貪りたいけど、相手は天使の皮を被った気まぐれな小悪魔。

ガツガツし過ぎると、機嫌を損ねてしまう恐れがある。

だから、そうっと慎重に、物足りないくらいがちょうどいい。

そしたら向こうから、もっとしてもいいんだよって、誘ってくれるはずだから。

「克樹はそれで満足？」

ほら、思ったとおり。

「ううん。全然足りない」

って言えば、膝の上に座ったまま俺の首に手をまわし、唇を寄せてくる。

嶺亜の気が変わらないうちに、いっぱいいっぱいキスをしよう。

俺はいつだって、嶺亜の思うがままだから。

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琳「克樹、どうしたの？」

克「どうしたのって？」

琳「唇から血が出てる」

克「あ～、さっき噛んだ」

琳「大丈夫？痛くない？」

克「大丈夫、大丈夫」

琳「でも、なんで噛んだの？」

克「えっ!? えっと、それは…」

琳「…」

克「お腹が空いたなぁって思ってたら、ドアのとこでおっきな音がしたから」

琳「ふーん」