お侍さんたちの短編集 2 (ページ17)

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66.抑えられないキミへの思いページ17

俺なら大丈夫だって思ってた。

好きな人の嫌がることなんかしないって決めてたし、できないって思ってた。

そりゃあ時々ぎゅってすることはあるけれど、それだって無理強いしてるわけじゃないし、第一それ以上のことをするつもりなんか、さらさらない。だけど、たった一つのことがきっかけで、抑えられない思いがあるんだってこと、俺は今更ながらに思いしらされている。

嶺亜にしてみたら、ただ単に行き場のない俺の片思いの捌け口に、身代わりのキスをしてくれただけなんだろうけど、これが結構、俺を苦しめてて困ってる。

そうなんだ。

キスがしたくて、しょうがない。

好きで好きで堪らないから、キスしたい。

だけど、片思いだから簡単にはできないし、好きな相手だからこそ、キス魔のキスだとは思われたくない。

「たいこう、どうかした？なんか百面相してる」

それなのに俺の気も知らないで、無防備に顔を近づけてくる。

おまけにほんの少し開いた唇が、俺を誘う。

あぁ、キスしたい。

俺が誰とどれだけキスしても、俺が本当にキスしたいのは、ただ一人。

俺は、こんぴとキスがしたい。

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今「ちょっ、たいこうっ!? なにし…」

矢「た、大光!?」

大「いいじゃん。減るもんじゃなし」

矢「いやいや、そういうことじゃ」

大「いいんだって。俺がしたいんだから」

矢「だから！よくな…!?」

今「!?」