お侍さんたちの短編集 2

65.黒い羽を落としたのは無邪気な天使 ページ16

最近、ダカさんの様子がおかしいとは思ってた。

てっきり嶺亜くんに振り回されてるとばかり思ってたけど、どうやらそうではないらしい。

そうなってくると、心配になるのは当たり前のことで、俺でなんとかなるならって、こうして話を聞いてあげてるんだけど、ダカさんにしては珍しく言い淀んでいる。

俺にも言いにくいことって、なんだろう？

嶺亜くんは別として、残りのメンバーで考えたら、相談事を話せるのは俺くらいだと思うんだけど。

なにをそんなに躊躇っているのか。

数少ない情報からありとあらゆることを考えてみる。

そうすると、なんとなく見えてくるものがあって、俺は軽く目眩を覚えた。

恐ろしく勘がいい時もあるのに、思いもよらぬ勘違いをする、俺のかわいい恋人の無邪気な笑顔が脳裡に浮かぶ。

「琳寧って、嶺亜のこと、好きだよね」

きっと何かの話の流れで言ったんだと思う。

それをダカさんは真面目に受け取ってしまったんだろう。

ごめん、ダカさん。

こんぴには、悪気は一切なくて、ただ思い込んでるだけだから。





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克「ホントにホントに、琳寧の好きな人は、嶺亜じゃないんだよね？」

矢「うん。違うから」

克「じゃあ、誰？」

矢「あ〜、え〜と…」

克「…やっぱり、嶺亜」

矢「違う違う。琳寧くんのは、ダカさんの好きと違うから」

克「ホント？」

矢「ホント、ホント」

克「じゃあ、まぁ、いいか」

矢「うん、うん」

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