62.目覚めに映るかわいい恋人 ページ13
本番前のわずかな時間。
ソファーに寝転がり、ちょっとだけ目を閉じる。
隣には、俺のかわいい恋人。
欲をいえば、膝枕、なんていうのをしてもらえたら最高なんだけど、俺のような陰キャを好きになってくれただけでもありがたいから、そんなことは口には出さない。
その代わり、手をのばし、指を絡めてみようかと思ったけれど、それもお互いまだ照れがあるから止めておく。
しばらくすると、肩口をゆさゆさと揺さぶられ、俺は重たい瞼をゆっくりあけた。
「おはよ」
「…ん、おはよう。もう時間?」
こくりと頷くその頬に、少し照れくさそうな笑みを浮かべた俺の恋人がまず映る。
俺のどこがよくて好きになってくれたのか、甚だ疑問ではあるけれど、俺とのこと、なかったことにはされたくないから、今さら聞けないし、聞くのもこわい。
「俺の顔、なんかついてる?」
俺がじっと見つめてるものだから、不安げな顔になる。そういうところがまだ、馴染みきれてない俺たち二人の関係性を物語ってはいるけれど、特に不満に思うことはない。むしろ恋人の初々しさが際立って、俺としては微笑ましく思えてくる。
「うん、ついてる。まずは眉毛だろ。それから目がついてて、鼻が…」
「なんだよ、それ」
「ごめん、ごめん。かわいいなって思って…」
「…かわいくない」
「そんなことない。かわいいよ、こんぴは」
「だから…もういいよ。矢花のバカ」
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矢「ねぇ」
今「ん〜?」
矢「キス、しようか」
今「え!?」
矢「いや?」
今「いや、じゃないけど…」
矢「じゃあ、おいで」
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作者名:すもも | 作成日時:2020年4月24日 20時