61.天使の誘惑、悪魔の囁き ページ12
首に手をまわし、耳元に唇を寄せるだけで、締まりのない顔をする。毎日のように俺を好きだという、ある意味イカれたアイツの普段のインテリ顔よりも、俺はそういう顔の方がずっとずっと悪くないとさえ思っている。だから、ときどき二人っきりの時間があると、戯れに絡みにいくのが、俺の楽しみの一つでもある。
今日も俺とアイツの二人っきり。
あざとさ全開に萌え袖なんかして、
「俺ね、嶺亜のこと好き〜」
なんて、えへへとだらしない顔して笑われたら、俺のイタズラ心が刺激されるのわかってない。
アイツが俺にかまってほしいのはわかってるから、さっきよりも近寄ってちょっと膝に手をおいたりして顔をみれば、もう物欲しそうな顔してる。
「ねぇ、克樹。ちゅーしたい？」
そっと手をのばし、人差し指で唇をなぞってやれば、
「…ん。したい」
それだけでうっとりした顔。
このあとキスをしてあげれば、とろとろにとろけた顔になる。
だけど、簡単にはしてあげない。
最初は額、それから瞼。鼻の頭に、唇を掠めるように頬にキス。焦れて、喉仏が鳴る様に、体の奥からぞくぞくする。
「嶺亜、もう…」
ほら。もう我慢できない。
「わかってるよね。ちゃんと言わないと、ここにキス、してあげない」
────────────────────────
克「琳寧のばかぁ!!」
琳「え？ え？ 琳寧、なんかした？」
克「なんで早く来ちゃうんだよぉ」
琳「え？ いや、なんでって…なんかわかんないけど、克樹、ごめん」
大「あれ、なに？」
矢「さぁ？ 俺が来たときから、もうあんなだし」
今「…嶺亜」
嶺「しょうがないなぁ。克樹〜、ちょっときて〜」
克「…!?」
大「あ、機嫌なおった」
琳「さすが、嶺亜さん」
矢「なんか単純」
今「…ねぇ、なんて言ったの？」
嶺「ん〜、ナイショ」
今「…ま、なんとなくわかるけど」
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作者名：すもも | 作成日時：2020年4月24日 20時
