毒を食らわば皿まで (ページ2)

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第2話ページ2

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ついにこの日がやってきた。

旅立ちにふさわしい晴れの日、柔らかな春の日差しが賑わうホームを包んでいる。

両親のお見送りさえなければ、これ以上ない絶好の新生活日和と言えた。本当にこの人たちにはずっと悩まされてきた。昔も今も、本来は一番の味方であるはずの両親が、私の悩みの種だった。

それも今日からは少しマシになるのだから、くよくよしてちゃいけない。
背後から突き刺さる視線に負けないよう、ぐっと背筋を伸ばした。

今日から私は雄英高校普通科に通う。

思い返せば、あれが私の人生で初めての両親に対する反抗だった。

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まず結果から言うと、私は雄英に進学することができたわけだが、相談→話し合い→合意と単純に文字で書き表せるほど簡単ではなかった。
娘を自分たちの思想にどっぷり浸からせたい両親を説得するのは並大抵のことではない。

雄英と聞けば、日本国民はまず例外なくヒーロー科を連想する。近年治安が悪化しヒーローの影響力が強まるなか、ますますその流れは加速している。

娘が雄英に行きたいと言ったら、雄英と言えばヒーロー科で、ヒーローの卵を育てるところで、all for oneの理念を掲げていて……と普通考える。

両親が私に望むことと、ヒーローになることは真逆だ。というか敵対すると言っていい。
ONE FOR ALLの精神は、彼らとは相容れないから。

なぜ私が雄英を志望したのかその理由は置いておくとして、彼らと私の戦いは長かった。

初めて自分たちの命令に従わない娘に多少困惑しつつも、両親は、雄英に行くなら学費は一切出さないとかお前はA家の恥晒しだと脅して、私の心変わりを待った。
所詮思春期の気まぐれだろうと、私の思いを舐めていたのである。

ところが予想に反して、私は何を言われても頑として譲らず、雄英に行きたいと主張し続けた。

私の話はたしかに筋が通っていて、彼らにとっても悪くない話だった。だのに渋々了承したと思えば、次の日に絶対に許さないと怒鳴ったり、だいぶ情緒不安定だった。

彼らは私を常に支配下に置きたがっていたのだ。
雄英なんて外の世界に出したら、今は大人しく言うことを聞いていても、三年後どうなるかは分からない。

しかし、最終的に両親は折れた。二人の間にどんな会話が交わされたのかは分からない。
ひょっとすると諦められたのかもしれない。

とにかくこうして、私はわずかながら自由を手に入れた。

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