Anthem 2

…来ちゃった。　(R.D) ページ23

「は？」




「…
来ちゃった。」




明らかに不機嫌そうな律の顔。
そりゃそうだ。
今日は月曜日で彼のオフの日のはずで。
朝早くから、しかも私がくるなんて思ってもいなかっただろう。





「ほら、言ったじゃん。
私今もう代表活動中。」











「ふーん、



とりあえず上がる？」






寝起きの目を擦りながら、
ペタペタと部屋に戻っていく。


やっぱり、寝てたのか。




「失礼します…

おじゃまします。」



「おい。なんそれ。
初めてみたいに言うなよ。」



「え？このお家は初めてだよ？

今日、滉くんに送ってもらった。」



「はあー？滉くん？ってあの滉くん？
俺の知ってる滉くん？」


「うん、そう。
板倉滉くん。」



あーもう、あかんて。


彼はくたりとソファーに横たわった。



「なあ、これからは、
まず俺に連絡し？
向かいに行くから。」


「いや、それはいいよ。」



「いや、よくないって
一緒におる時間が長い方が良いやん。」




「ん？」



あ、と律は驚いた顔で
やっちまったと顔を覆った。



「ねえ、何その顔
完全に何か口走った時の顔だけど。」


「ん？いや、まあ。な。」


急に立ち上がったと思ったら
またソファーに座って


完全に挙動不審だ



「ねえ、何？
今日おかしいけど。」




「いや、そもそも、ここまで来て
お前が何にも思わないのがおかしいと思うわ。」



「ん？なんの話してる？」



「俺らの話！」



あーもう、俺宇宙人と話してるやん
ケラケラと笑う姿はいつも通り。



「普通さ、幼馴染の家に勝手に来るか？」


「いや、だって、行くとこないし。」


「…別にホテルでもなんでもあるやん。」



「あー。
やっぱりホテルに泊まった方がよかった？」


「いや、そう言う話してないんよ。
なんか思わんかって言う。」


「いや、本当に感謝してます。
日本を支えるストライカー様に感謝。」


「ちょっ、だるいわ。
違うんよ、根本が。全然会話できてないって。」




そんなことを言われても、
私からすれば律の方が意味不明で、
全く理解できない。


「やっぱり来ない方が良かったか…。」





「は？いや、来る方が良かったやろ。
何なんマジ。」



彼はまだむすっとしたままで
そのくせ少し嬉しそうにも見える。



「ほら、いくよ？」


「え？なにが？」



「いや、飯。
ドイツに来たら奢るってゆうたやん。」


こんな時も甘やかしてくれる彼のことが大好きなのは
内緒にしておいた。

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