旧校舎のキュウケツキ (ページ9)

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記憶がこの声は聞いたことがあると叫んでいる。

脳が危険だとサイレンを鳴らしている。

え…とこの声の方を向くと、

ベッドから出てきている、渡辺くんがいた。

やばいやばいやばいやばい。

保健室に入った時、１つベッドが埋まっているなとは思ったけどそれが、渡辺くんだったなんて。

渡辺くんはそのままわたしの方に近づいてくる。

逃げ出したいけど体がびっくりし過ぎて動かない。

そのままわたしの真ん前にきた渡辺くんは、スッと手を伸ばした。

や、殺られるっ……

反射的にぎゅっと目を瞑ると思ってたのと違う感覚が顔にあって…

目を開けると渡辺くんはわたしのメガネを持っていた。

渡「おとといの、来栖さんだったんだ。」

「えっ…？名前知って…？」

渡「ふはっ俺ら同じクラス笑」

…いや、それは知ってるんやけど…

渡「これ伊達じゃん。メガネで気づかなかった」

渡辺くんはわたしのメガネをのぞいたり、ぷらぷら揺らしている

そこでやっと気づいた。わたしは放課後の図書室に行くときは地味な格好が暑苦しくなってメガネをとって、ネクタイも外していたから気づかれなかったんだ。

「あの…渡辺くんって…」

吸血鬼なのか。

と問いかけようとした瞬間、またあの顔が目に入った。

あの黒目が真っ赤に染まり上がって…牙がきらりと口から覗いている…。

やばいって思った時にはもう足がすくまって頑なに動かない。

渡「…いろいろ説明したいんだけど…ごめん、俺限界…」

そう言って、口を開けて向かってきた先は。

さっきできた傷口。血が出ている腕だった。

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