旧校舎のキュウケツキ (ページ27)

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殴られるっと思った瞬間聞こえてきた声に反応してその場にいる全員が顔を向けた。

「手を出すのはよくないよね？」

そう言って、私たちの方へと近づいてくるのは

ピンク色が輝いている髪のキュウケツキ、佐久間くんだ。

言い方は優しいのに目が笑っていない。

振り上げた手がそのまま降りていって、わなわなと震えている。

焦った様子で後ろの2人が顔を見合わせた。

『…っ私たちは話し合ってただけで！』

彼女たちが言い訳を始めたが

佐「へえ、3対1で壁に追いつめて？」

佐久間くんのイメージとはかけ離れたうんと低い声。

『…っ』

3人とも青ざめた表情で急いで逃げていった。

「あ…ありがとうございます」

すると、冷たい目をしていたのがふわっと柔らかく弧を描いた。

佐「上から来栖さん見えてまじ焦ったわ〜笑」

「え…」

佐「ちょうど忘れもん生徒会室に取りに行っててよかった！ちょうど角度的に見えんだよね」

ほらと指をあげてある方向を指す。たしかに、あそこの窓は生徒会室の階だ。

なるほど…

なんだか自分でも知らぬ間に身体が緊張していたみたいでふっと力が抜けた。

佐「…かっこよかったよ。俺だったら3人に囲まれて嫌とか言えねえもん。」

すっと差し出された手が頭の上に乗って、ポンポンと撫でられ

くるっと背を向けて、授業遅れるよ〜って言いながら去っていくピンク色の彼。

ピンク色が滲んで見えないことで、知らぬ間に目から溢れているものに気づいた。

…やっぱり彼らは、誰1人として優しい。

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