31.もふもふに擦り寄る ページ32
さっき颯くんに頭を撫でられてから震えが完全に止まったような気がする。
「震え止まったのかな?なんか歌えそうな気がする。」
「それは良かった。」
次の曲は颯くんが選んだ曲だ。
静かに聞いていよう。
「…良い声だなぁ」
間奏に入ったので呟いた。
「そんなことないと思うけどな…?」
「颯くんが良いと思ってなくても、私は良いと思ってるから…」
歌詞を見ている颯くんの後ろに座って髪の毛をもふもふし始める。
そろそろ散髪に行きたいと言っていたので、今はちょうど良いもふもふだ。
「飼い猫をもふもふするように颯くんの髪の毛もふもふしたい…」
再び長い間奏に入ったので呟く。
「曲終わってからなら…?」
「いいんだ…待ってる。」
自分は猫を飼っている。たまに顔を寄せて擦り寄ることもある。
ゆえに、もふもふしたものには擦り寄りたくなるのだ。
もちろん、余程慣れた人や動物でない限りはしない。
「終わった。」
「お疲れ様でした。」
「お疲れ様です。」
何故かたまに敬語で話すのが私たちの特徴で、付き合ってしばらくはSNSで話す時にすべての文章が敬語だった。しかし、今は敬語も消えつつある。
特殊だと言われることはよくある。もう慣れた。
「密室ってなんでもできそうな気がする。しないけど。」
改めて颯くんの髪の毛をもふもふしながら話す。
良い触り心地だ。
「まぁ、なんでもして良いわけじゃないけどね。」
「うん。はい、失礼しまーす。」
以前、ハグしたくなったらいつでも良いと言っていたので、人気の無いここでなら良いだろう…と考えた。
いつでも良いと言われても、自分にはそんな勇気などない。
「たまに来るデレの破壊力がすごい。」
どんな顔をしているか知らないが、颯くんが顔を手で覆っている。
「もふもふ…もふもふ…」
もはや呪文のように同じことを呟きながら颯くんに擦り寄る。
「…こういうところずるい。」
颯くんは終始うめき声をあげていた。
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薊 - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!そのように思っていただけて嬉しいです。不定期更新ですが、よろしくお願いします! (2019年4月7日 2時) (レス) id: f34ac70128 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - 面白くて一気に読んでしまった!この話のカップルは初々しくて良いですね! (2019年4月3日 22時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
薊 - おれやなぎさん» コメントありがとうございます!頑張ります…!今後もよろしくお願いします (2019年3月29日 20時) (レス) id: 16497c87cc (このIDを非表示/違反報告)
おれやなぎ(プロフ) - 薊さん» 新しくて面白い!更新頑張ってクダサイ (2019年3月25日 20時) (レス) id: 31d6ef12c3 (このIDを非表示/違反報告)
薊 - air@低浮上さん» すみません…レス押し忘れました… (2018年12月3日 23時) (レス) id: 02884e4a0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:薊 | 作成日時:2018年11月19日 0時