実験.1回目 ページ2
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…だいぶ寒くなったな。明日からマフラーを使おう。
でも、ひとまず区切りをつけなきゃいけない。
『そこの電柱くん。一体何の用?』
電柱に隠れている影に話しかけても反応しない。
『ここ一か月、ほぼ毎日そこから私のこと見てるね。電話や手紙も、用も無いのにそうし続けるなら、通報しますよ?』
「え!?それは、…あ…」
影は慌てて口をつぐんだ。
このままやり過ごそうという魂胆は見え見えだ。
『出て、来ないの?』
今度はわざと圧をかけて言う。
すると、少し間をおいてパーカーを着た背の高い男が出てきた。
マスクとサングラスで顔は全く見えない。
『初めまして、君、私のストーカーだよね?』
「えっ、と…それは、ちゃうくて、」
『違わないでしょ。私のこと毎日見てるじゃん。そこの電柱で』
「う、んと…」
もうバレてるんだからそんな濁す言い方しなくても。
それに心なしか恥ずかしがってないか?
『…どした、気分でも悪いの?』
「いや…俺、君とは一生話せへんと思てたから…ほんま信じられへん」
こんな状況だけどね。
ストーカーの感動するツボは分からん。
『ところでなんで私のストーカーなの?他に行けとは言えないけど、私より良い女性なんか山ほどいるでしょ』
「そっ、そんなことあらへん。俺は君が一番好きや!!」
『…あーそう』
夜だし、君ストーカーだし、絶対今叫ぶ内容じゃないね。
よく言えば天然、悪く言えばお馬鹿さんかな。
「あの、それで…やっぱ通報ってするん、よね…」
『…まぁ、ストーカーだしね。それも常習犯』
普通なら通報して視線や電話、手紙の悩みを解消するけど。
なぜか実験したいって血が騒ぐ。
やっぱ私ってイかれてるのかな?
『ねぇ、通報されたくないなら、私の家来てくれない?』
「へっ?は…ん、ちょ、もっかい言うて?」
『だから、通報しないから私の家来て。ここじゃ近所の人に迷惑だし。一応夜なので』
「あの…俺君のストーカーやで?」
『自分で分かってるじゃん。とにかく来て。言う通りにしてほしいことがあるんだよね』
無理矢理手を引いて家に連れ込む。
…これじゃどっちがストーカーか分からない。
鍵を開けて中に入った。
もちろんストーカー君も入れる。
ストーカー君の顔をまっすぐ見つめる。
『私と友達にならない?』
中々ない機会だし、私の実験を手伝ってもらうかな。
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雪那 - やっば・・楽しみ!!ストーカーさん!その惚れ薬がさっさと聞いて、おとして付き合っちゃえ!((( (2022年11月29日 17時) (レス) @page9 id: 956d4fad93 (このIDを非表示/違反報告)
紗希 - ものすごくう好きだあああああああ (2022年5月7日 20時) (レス) id: 607c9e6e65 (このIDを非表示/違反報告)
アセロラスープ(プロフ) - sakiさん» ありがとうございます!(´ω`*) (2022年4月9日 11時) (レス) id: db90610933 (このIDを非表示/違反報告)
saki - すごいすきです。 (2022年4月8日 21時) (レス) @page9 id: f0b5225799 (このIDを非表示/違反報告)
アセロラスープ(プロフ) - 彼岸花さん» 私も頑張ってほしいです(*´ω`) (2022年2月20日 15時) (レス) id: db90610933 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アセロラスープ | 作成日時:2021年12月1日 23時