歩む道。 〜With a lot of love〜

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ホテルに戻ってきた私達。


私達二人が同じ部屋だと言うことを、
みんなが当たり前に受け取るのが
なんか少し変な感じ。


夫婦っていう肩書があるだけて
こんなにも今までと違うんだ、なんて実感する。




お疲れ様でした
また明日よろしくね
おやすみなさい




そんな挨拶を交わして
部屋に二人で入った直後。




私の顔を覗き込むたか。









西「A？ちょっと顔色悪くない？大丈夫？」

「大丈夫だよ。でもちょっと疲れちゃったかも。」







前だったら、大丈夫、の一言だったかもしれないけど。



こうして、ちゃんとほんとのことを言えるようになったのも、たかのおかげ。
気持ちをちゃんと言葉にできるようになったのは
私としては大きな進歩だと思う。







西「そっか、じゃ、先シャワー入っておいで。」

「うん、ありがとう。」






言われるがまま
今日２度目のシャワーを浴びる。


熱いシャワーを浴びながら、ふと。


出かける前にここで二人でしたことを思い出してしまって、じんと体の奥が熱くなる。





「やだな、私ってば。」





見えないところにあるたくさんの赤い跡。

ぺしぺしと顔をたたく左手の薬指には
ずっとつけっぱなしの結婚指輪。

ほかにも、ピアスもネックレスもアンクレットや腕時計。ブレスレット、髪飾りに至るまで。



アクセサリーは、たかからの贈り物がほとんどだ。

こんな高価なものばかりもらえないと言っても、俺の安心材料だからと言われるとつい受け取ってしまうのは…。





全部“鎖”なんだって、たかが言うから。





“Aが俺のものだって俺が見て満足したいの。
だからできたら拒まないで。”





いつだかそう言ったたかの
なんでか寂しそうな顔がいまだに忘れられない。





そんなことしなくても私はたかのもので、
たかの存在なしではもう生きていけないのに。








さっきだって
ホントは怖いくらい過去の傷に飲み込まれそうで。





でも。


たかがそばにいる。
それだけで過去に沈みそうな心が
今にとどまることができた。





これは依存なのかもしれない。
庇護される存在でいたいわけじゃない。
自分の足で立っていたい。
そう願い目指す心はちゃんとあるのに。




でも、私達はこれでいいんだ。
そう思えるようになったのは…
結婚してからかもしれない。

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