歩む道。8

396 side Nissy ページ46

選ぶ楽しみ、もあったかもしれないけど。



Aの最優先は俺、だから。
結婚式をやろうって言っても頷かなかったはず。




だからほとんど全部、
俺が準備をした。



Aを世界一幸せな花嫁にしたい。

家族になった日を
まるごと全部、幸せな記憶で埋め尽くしたい。



そんなことを考えながら
準備をするのはとても楽しかった。




結婚式に来てもらいたいと声をかけた人たちは
みんな笑顔で喜んでくれた。





Aちゃんしかにっしーと付き合えないよなぁ

Aを頼むよ

Aを幸せにしないと許さないから

Aちゃんは運命の人だったね

Aちゃんとなら絶対に幸せになれるよ






思っていたよりもずっとずっと
Aはみんなに愛されている。





それは、きっと。



Aが自分で自分の道を
作って歩んできたから。




ねぇ、A。




Aの周りには
Aを大切に思ってる人がたくさんいるよ。




一人にしないで
一人はいや
置いて行かないで



と泣いていたあの頃の君に教えてあげたい。




辛いこともたくさんあったけど、
それと同じくらい嬉しいこともあるよって。




そんなことを思いながら。



目の前で、
俺の選んだドレスを着て涙を流すAを見つめた。




“一生、大切にする”



誓いを込めた結婚指輪は
俺がデザインした世界でひとつだけのもの。




Aの震える左手をそっと持ち上げて
薬指に指輪を嵌める。


頬を涙で濡らして嗚咽を堪えてるAに



西「俺にも。」



と言えば、
Aはうんと頷いて
リングピローから指輪をとる。



西「俺、薬指に指輪を嵌めるの、
初めてかも。」




震えるAのぎこちない動きを見ながら
呟くと、
視線を指輪から俺に向けた。



「たかの初めてって貴重…。」



Aは、
泣きながらくしゃりと顔を歪めて笑う。


まだ傷一つない、
銀色の輪が俺の指を滑っていく。




「ちゃんとできた…？」


西「うん、お揃いだ。」



多分見つめ合ってたのは
ほんの一瞬だけど、時が止まったような気がした。




日「二人の世界だな、おい！」
末「帰ってこーい！」



日高や秀太の声に周りを見渡すと
号泣のさくらちゃん。
笑顔で拍手をしてくれてる実彩子と千晃。
目元をハンカチで拭うチーフ。
目が合うと、一つ頷いてくれた長瀬さん。



浦「せーのっ！」


リーダーの掛け声にあわせて、
みんながおめでとうって言ってくれて
たくさんの人に囲まれて
この日を迎えられて本当に良かったと思った。

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