歩む道。8

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華音「迷惑かけてないもん。

久しぶりにAちゃんとたかくんと
たくさん話したいだけ。


じゃあ…、
今日たかくんち、お泊りしてもいい？
お願いっ！」


顔の前で小さく手を合わせる華音ちゃん。


「たぶん、たかくんは帰り遅いと思うよ？
私しかいないけど…それでもいい？」


華音「いいっ！全然いい！」


母「そんな…ご迷惑よ。華音。」


「あの…、もし、よければ。


西島さんも、あ、あの、隆弘さんも
喜ぶと思うので…。」


母「そう？
もう中学生だし、面倒はかけないと思うけど。

じゃ、お願いしてもいい？」


華音「じゃあ、決まり！やったー！」





そんなやりとりがあって
終演後、華音ちゃんを預かる。





華音「Aちゃん、目真っ赤。」



と華音ちゃんにもさくらさんにも
からかわれながらも
さくらさんと亮介くんと4人で一緒に夕飯を食べて
マンションまで送ってもらった。



部屋に入ると、


華音「ひろーい！おおきーい！」


ソファに飛び乗り
大はしゃぎの華音ちゃん。



華音「夜景も見える！すっごい！」



「私も最初びっくりしたなぁ。
こんなところに住んでるってすごいよね。」



華音「うん、やっぱりたかくん。
すごい人になっちゃったんだなぁ。

嬉しいけど、ちょっと寂しい。」



「それ、ちょっとわかるかも。」



ココアを淹れて、
ひとつを華音ちゃんに渡す。



華音「ほんと？」


うんと頷いて隣に座り、
ココアを一口飲む。



「私ね。



今は西島さんのマネージャーじゃないんだ。


今の西島さんは、
私が一緒に仕事してた頃と
全然違う。



あんな大きなところでひとりで
ライブやって。


何万人って人が西島さんのライブを見るために
全国から駆けつけるって
すごいなぁって。


嬉しいけど、ちょっと寂しいし怖い。」



華音「うん…。」



「でもね。

西島さん本人は前と変わらないの。」



華音「え？」



「一生懸命お仕事して。
どうしたら、みんなに喜んでもらえるか、
相変わらずそればっかり考えてる。

あとね、
寝起き悪いとこは治らないし。

相変わらずきゅうりは嫌いだし。
すぐおなかいたくなっちゃたりするし。



たぶん、
華音ちゃんが知ってるたかくんは
そのままだよ。
華音ちゃん大好きなたかくんのまま。」




だからきっと華音ちゃんがここにいるの、
すっごい喜ぶと思うよ、


と伝えると
少しだけ華音ちゃんの顔に笑みが浮かぶ。

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