323 side Nissy ページ23
「いってきます。」
西「うん。気をつけてな。」
にこやかに笑って頷いて玄関に立つA。
余計なことを言ったら、
ついでに
やっぱり行くなって言ってしまいそうで
軽いキスをかわして、抱きしめた。
じゃあ、行くね
とAが鎌倉に行ってから
半年と少しが経った。
春が来て夏が来て。
Aがいない日常にも少しずつ慣れできた。
だけど。
どうしてあの時。
どんな形でもいいからそばにいてほしいと
言わなかったんだろう?
カッコつけて、待ってるなんて言ったことを
後悔しない夜はなかった。
それほど、
Aのいない部屋は空虚だった。
【今日は病院の日です。いってきます。】
【なんだか寒いけど東京はどうですか?喉、気をつけてね。】
【今日はお皿を一枚割ってしまった…。】
【休憩時間にピアノを弾いたよ。】
【夕日がキレイでした。写真送るね。】
毎日、メッセージをくれるA。
その内容は他愛のないことばかりだった。
それでも、Aが元気にしてるってだけで
気持ちは上向きになる。
だけど、Aから電話がかかってくることは
なかった。
きっと俺の邪魔をしないためなんだろう。
だから、タイミングがあえば俺から電話した。
声を聴けば、逢いたくなるけど
逢いたいとか、寂しいとか。
そんなことはお互いに口にしなかった。
拓実さんやかなさんも、
時折Aの様子を連絡してくれた。
毎日、前向きに過ごしてるらしいA。
慣れない仕事も頑張ってる。
休みの日は子供の相手もしてくれる。
時間があるときは料理を習ってる。
そういうことを聞くと
俺もちゃんとしなきゃ、そう思う。
幸せなことに、
やりたいことも、やるべきことも
応援してくれる人もたくさんいた。
新しくマネージャーになってくれたのは、
瀬尾梨々花。
Aをチームから外した時に
俺がAの代理を頼んだ人で、
Aが、梨々花さんならと
俺のマネージャーに推薦したひとだ。
俺も彼女の仕事は信頼していたから
話はスムーズに纏まった。
彼女もAさんが戻ってくるまでなら、
と快く引き受けてくれた。
その言葉を聞いたAが
そんな日がくるかな、って
少しだけ寂しそうに笑っていた。
そうやってお互いに、
日々を一生懸命過ごしてきた。
そんなある秋の日。
毎日あるはずのAからのメッセージが
なかった。
電話も繋がらなかった。
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リリィ(プロフ) - ふみさん» 今更お返事ごめんなさい!いつもありがとうございます!続き頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - AYさん» 今更感ありありのお返事でごめんなさい(泣)読んでくださりありがとうございます!お詫びに?更新頑張ります! (2020年1月5日 20時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - めっちゃいいとこ!!早めに続編頼みます! (2019年11月25日 23時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 本当に、ほんっとうに主人公さんの可愛さにはかなわない。というかリリィさんにはかなわない!読むのが楽しみで頑張れます。いつもありがとうです〜 (2019年11月25日 20時) (レス) id: d7256c5ba1 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ(プロフ) - Takatakaさん» 帰ってきちゃったー☆予想通り、ですかね笑 (2019年11月25日 17時) (レス) id: 79af705402 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリィ | 作成日時:2019年7月11日 20時