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「あの、」
大「ん？」
「今までありがとうございました」
私は手提げカバンの中から1年以上貸してもらっていた先輩のカメラを取り出した。
今日最大のミッション。
私から大野先輩に話しかけること。
『声が震えないよう話す』
ただそれだけのことなのに、そんなことが今はとても難しい。
「そっか。新しいカメラ、買ったんだっけね」
「…はい」
「それじゃあ これはもう用済みだ」
心臓がイタイって言ってる。
私の心臓だけがイタイって泣いてる。
私は唇を噛み締め、必死で痛みを堪えてるのに
どうして先輩はいつも通りでいられるの？
「…」
ほんの少しでいいから
私の存在を気にしてほしかった…って思うのはワガママかな。
気まずい顔をしてほしかった。
私をまっすぐに見ないで欲しかった。
私の告白のその跡を 先輩の中にカケラでも見つけられたら、ありがとう以外の意味も見つけられるんじゃないか…って。
私はまだ心の奥底でほんのちょっとだけ期待してた。
…ほんと、バカね。
「ルーズリーフ タイミングよかったね」
櫻井先輩の言葉に はいと頷いた。
うまく笑えなくて、でも今の私の精いっぱいで口角を上げて微笑みを作った。
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苦しい。
苦しい。
逃げ出したい。
二「体調悪い？」
二宮先輩にひょいと下から顔を覗き込まれハッとする。
「…ぁ、いえ…大丈夫です」
二宮先輩から顔を背けるフリして大野先輩に背を向けたら、やっとまともに呼吸ができるようになった。
酸欠だったのかもしれない。頭がぼっとする。
二「顔色悪いぞ」
「…え、あ」
回り込んだ二宮先輩が再度 私の顔を覗き込む。
二「今日はもう帰りな」
「いえ、ホントに大丈夫なんで」
二「ほら。荷物持て」
「でも、」
二「でもなに？」
「私、本当に、」
二「俺が帰れって言ってんだけど？」
有無を言わせない強い言葉。
「…」
櫻「あー、確かに青白い顔してる。ごめん。気づかなかったよ」
…体調不良だと思われるなら、それはそれでいいのかもしれない。
よ「A…」
よっちゃんがオンナのコの日なんてこと さすがにこの場では言えないって顔して私を見る。
だってオトコばっかだもん。
よ「帰ったほうがいいよ、A」
ホントは体調不良でも生理痛でもない。
けど今日はもう限界だった。
私は 失礼しますと頭を下げ部室を出た。
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yuihibiki(プロフ) - ちょこたろーさん» 人それぞれですよね。さまざまな出来事に対しての感じ方も受け取り方も、私の書いたあいさつ文に当てはめる情景も。このオハナシがどんなリハビリになってるのかは分かりませんが、完結までもう少しお付き合いくださいませ。 (2019年11月17日 21時) (
レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
ちょこたろー(プロフ) - いつも読ませてもらってます。挨拶にある今の気持ちが、うなずけすぎて思わずコメントさせてもらいます。飲み込めていないことが多すぎてやっぱり正月から止まってる。流れはね頭で受け入れているんだけど心はねもう容量オーバーで。だからこのお話が私のリハビリです。 (2019年11月14日 15時) (レス) id: c8a1445fc4 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - さわさん» この大野先輩は主人公ちゃんにとってなかなかキツイよなあーって思いながら書いてますけど、しばらく？ずっと？こんな感じでいくことになりそうです(^_^;) (2019年11月10日 9時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - きっとニヤニヤしてしまう展開が待ってるんだろうけど、主人公ちゃんの心が苦しそうで悲しくなります。大野先輩お願いしますよ〜。 (2019年11月9日 16時) (レス) id: 759a393a86 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - nyurika513さん» ありがとうございます（笑） (2019年11月2日 0時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuihibiki
| 作成日時：2019年9月23日 0時
