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「Aちゃんって家 近いの？」
「はい。2駅向こうの東山です」
「え、遠いじゃん」
「そうですか？」
仕事場で知り合いに会いたくなくて少し離れた場所を選んだんです。と話すと
坂本さんは それは分かる。と頷いてくれた。
それなのにこの世で一番会っちゃいけない人と会って、しかも一緒に働くなんて。
私ってとことんついてない人間なのかもしれない。
「ああ、そうだ。じゃあ大野送ってやれよ」
「へ？」
えっ…？！
「お前 時間あんだろ？」
「…まあ、もう帰るだけだけど」
ちょっと冗談でしょ？！やめてやめて！
「んじゃさ」
「坂本さん！私 大丈夫です！
前のバイトの時はもっと遅くなってたし、駅まで行けば 電車に乗るだけですから！」
「何言ってんの。女の子なんだから、甘えられるときは甘えときゃいいんだよ」
甘えられない相手だっているんです！と言えないのがツライ。
先輩だって坂本さんに頼まれたら断りづらいだろうし。
「いえ！ホントに大丈夫ですからっ」
「大野、いいんだろ？」
先輩のいい悪い、そのどちらの返事も聞きたくない。
坂本さんが大野先輩に向き直ったタイミングで
私は「お先に失礼します！」と頭を下げ慌てて店を出た。
「えっ？！ちょっと待ちなってばっ、Aちゃん！」
坂本さんが私を引き止める声が聞こえたけれど
私は振り向かず全力で逃げた。
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とは言え、少し走っただけで足がもつれそうになった。
「はあぁ……久々のダッシュは、結構クる…」
ずっと陸上部だったのに。
真っ黒に日焼けしてひたすら走ってたあの頃とはもう、体力からして違う。
またランニング、始めようかなあ。
運動してる時はネガティブ思考から解放されるしね。…なんて思いながら坂本さんがくれたジュースのキャップをひねった。
渇いたノドは相当水分を欲しがってたみたい。
満足するまで体に流し込んでキャップを閉めた。
やっと1人になれて緊張がなくなって、ホッと一息。
「………5時間 長かった、」
先輩の視界に入ったら見つめられたくなる。
先輩の顔を見たら笑いかけてほしくなる。
なんて虚しい願いなんだろう。
声も眼差しも柔らかな雰囲気も
たくさんたくさん好きって思ってた。
今も…性懲りもなくそう思ってる。
矛盾してるよね。
想いが過去形になるのを待ってるのに
願いは未来を思ってるなんて。
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yuihibiki(プロフ) - ちょこたろーさん» 人それぞれですよね。さまざまな出来事に対しての感じ方も受け取り方も、私の書いたあいさつ文に当てはめる情景も。このオハナシがどんなリハビリになってるのかは分かりませんが、完結までもう少しお付き合いくださいませ。 (2019年11月17日 21時) (
レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
ちょこたろー(プロフ) - いつも読ませてもらってます。挨拶にある今の気持ちが、うなずけすぎて思わずコメントさせてもらいます。飲み込めていないことが多すぎてやっぱり正月から止まってる。流れはね頭で受け入れているんだけど心はねもう容量オーバーで。だからこのお話が私のリハビリです。 (2019年11月14日 15時) (レス) id: c8a1445fc4 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - さわさん» この大野先輩は主人公ちゃんにとってなかなかキツイよなあーって思いながら書いてますけど、しばらく？ずっと？こんな感じでいくことになりそうです(^_^;) (2019年11月10日 9時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
さわ(プロフ) - きっとニヤニヤしてしまう展開が待ってるんだろうけど、主人公ちゃんの心が苦しそうで悲しくなります。大野先輩お願いしますよ〜。 (2019年11月9日 16時) (レス) id: 759a393a86 (このIDを非表示/違反報告)
yuihibiki(プロフ) - nyurika513さん» ありがとうございます（笑） (2019年11月2日 0時) (レス) id: ecfd2b01ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yuihibiki
| 作成日時：2019年9月23日 0時
