～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ10)

今日:21 hit、昨日:50 hit、合計:444,147 hit

54 ページ10

.

そんな幸せムード真っ只中

誰かが嫉妬でもしたのだろうか、

私達の間に、ちょっとだけ寂しいお知らせ。

髙橋『…本当に言ってる？』

「うん。」

髙橋『俺そんなの納得いかないよ』

「いいの！私がいいって言ってんだから。」

点滴の準備をする私の隣で

何やら暗い顔をした海人が突っ立っている。

髙橋『俺から掛け合ってみるよ』

「海人は何もしなくていいの！」

髙橋『だって』

「いいんだってば！！」

髙橋『……』

この不穏な空気を作る原因

それは＿＿

.

.

.

「永瀬さん、昼食ですよぉ」

永瀬『ん。』

.

すっかりベットに飽きてしまった永瀬さんは

部屋に入ると大概、

松葉杖をついて窓際に立っている。

.

ベットサイドの机に食事を置くと

永瀬さんは大人しくベットに戻り

永瀬『いただきます』

「ふふふ、どうぞ。」

きっちり手を合わせてから

口の中に沢山のご飯を頬張った。

.

.

私は少しの間ベットの横にある椅子に腰をかけ

そんな姿をボーッと眺める。

永瀬『？』

「ふふ、美味しそうに食べるなぁと思って」

永瀬『……』

すると少し恥ずかしそうに笑い

またお箸を動かしていく永瀬さん。

.

「ねぇ、永瀬さん。」

永瀬『ん？』

.

私はとても穏やかだった。

何があっても、

私は永瀬さんを離したりはしない。

.

.

「私、異動になっちゃった。」

永瀬『……』

.

永瀬さんの手から

ポロッと一本のお箸が床へ落ちる。

私は、

それを拾って永瀬さんの顔を見上げた。

.

「脳神経外科だって。…明日から。」

永瀬『……』

「ほんと、急で困りますよねぇ。」

永瀬さんの瞳に

不安な色が足される。

そんな顔しなくてもいいのに。

別に病院は変わらないし

退院したらずっと一緒に居れるんだし

あと、数週間

我慢すれば

.

永瀬『…もうここには来てくれへんの？』

「……」

.