～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ9)

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「…もしかして我慢してましたか？」

永瀬『だいぶな。』

永瀬さんは

なかなか顔を見せてくれなくて

少し赤くなった耳元が愛おしい。

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「…言ってくれれば良かったのに」

永瀬『…嫌われるかもしらん。』

「……」

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永瀬さんは、とても不器用だった。

人付き合いが少し下手くそで

壊れないように、大事に丁寧に

私に触れるたび少し不安そうな顔をする。

信用ないなぁ～

でも、それもそうだよね。

私達はまだ出会ったばかりで

全部これからなんだもん。

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「絶対に嫌いにならない。だから、」

永瀬『……』

「永瀬さんが今不満に思ってる事

私に全部吐き出して欲しいです。」

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永瀬さんは一度静かになって

スーッと息を吸い込む。

それ、私の胸元でするのやめて…

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そして永瀬さんは

ゆっくりと顔を離して

頬を少し染めながら下を向く。

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永瀬『男と二人で、…飲みに行かんといて。』

「…ふふふ。…分かった。」

永瀬『え？』

「ていうか、ちゃんと断ってますよ？」

永瀬『……』

「…私も逆の立場だと嫌だし。」

永瀬さんは

目をまん丸にして私を見上げてくるから

思わず、プッと吹き出す。

永瀬『…あいつと距離近い』

「分かった。気をつけるね。」

永瀬『…あと、』

「うん。」

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永瀬『退院したら、俺と一緒に住もう。』

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カーーン、カーーン

と、頭の中で鐘が鳴る。

なんというパワーワードを

なんというタイミングで

しれっと言われ過ぎて時差が生まれる。

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永瀬『…あかん？』

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おれといっしょにすもう？

オレトイッショニスモウ？

俺と

一緒に

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コテン、と首を可愛らしく傾けて

私の返事を待つ永瀬さん。

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そんなの

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「あかん、…じゃない。」

永瀬『……』

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ゆっくりと時間をかけて

お互いの不安を取り除こう。

その度にこうして

ちゃんと言葉にしよう。

そうすれば、

ちょっとは楽になるから。

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永瀬『…幸せ過ぎて怖い』

「ふふふ、…て、ちょっ…永瀬さん」

永瀬『…A胸でかいな。』

「な…こら、離れなさい！」

永瀬『嫌。』

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幸せ過ぎて…

たしかに怖いね

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