～小さな世界～【永瀬廉】２ (ページ14)

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「どうしてあの時

もっと話を聞いてあげなかったのか

何か力になれなかったのかと、…その後悔は

きっとこれからも消えることはありません。」

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「兄のような人が少しでも居なくなればと

私は今こうして、看護師をしています。

人に寄り添えられるような存在になりたくて。」

永瀬『…うん。』

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兄は病気だった。

病気だけど、でもちゃんと生きていられた。

会話も出来るし、ご飯だって食べられる。

人と少し違うだけ、ちょっと身体が不自由なだけ。

それなら良いじゃん

生きてるだけで幸せじゃん

と、私はずっとそう思っていた。

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本当の苦しみなんて

本人にしか分からないのにね。

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「…でも、未だに手応えなんて感じた事ない。

結局、自分の為なんです。人助けがしたいだなんて

そんなのただの自己満足で…」

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リーダーの言葉は

あながち間違いではなかった。

結局は自分の後悔を消したくて

少しでも楽になりたくて

自己満足で

ただのエゴで

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＿＿貴方のその偽善ぶってる所、嫌いなのよ私。

そう思われても、

仕方ないのかもしれない

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永瀬『俺は救われたよ。』

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「……え？」

ゆっくりと顔を上げると

永瀬さんの迷いのない眼差しが

しっかりとこちらを捉えて

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永瀬『俺は、Aに救われた。』

透き通るような声がスッと耳に届く。

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私を見つめながら言う永瀬さんは

ぷっくりと膨らんだ涙袋のせいか

少し泣いているようにも見える。

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永瀬さんは私の手を

両手でしっかりと包み込み

まるでそれを宝物かのように、じっと眺めて

永瀬『Aが居たから、』

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そして

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永瀬『…俺は今ここにおる。』

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