45 Ren side ページ1
ren side…
小さい頃に思い描いていた夢
そんなもんは、とうの昔に忘れた。
物心ついた頃には
すでに俺の世界は廃ってて
やりたい事、手に入れたい物は
全て諦めないといけない環境やった。
世間の目は冷たく
俺は常に汚らわしい存在やった。
小学生、中学生の時は
一人も友達が出来なかった。
中卒で職を探すも
なかなか俺を受け入れてくれる所はなかった。
唯一見つけた職場では
ろくな人間は居なかった。
俺に近づいてくる女は下賤で
俺に興味を持つ大人は卑しかった。
.
俺は大人に舐められないよう
髪色を派手に染めた。
俺は可哀想だと思われないよう
常に無表情を貫いた。
悔しくて泣きそうになった時は
潔く諦める事にした。
戦う事をやめた。
抗うのをやめた。
その結果、
俺の中で生きるも死ぬも
どっちでもいい
そこに行き着いて
ちょっとだけ楽になった。
.
.
ある日突然
手と足が不自由になり
食欲も無くなり
ただ毎日ベットの上に居るだけの生活が始まった。
やっぱり医者も、看護師も
欠落した俺に冷たく毛嫌いをした。
嫌な顔をして俺の部屋に入ってくる度
別に無理して来なくてもいいのにと思った。
.
“ 永瀬さーーん。食事ですよぉ！！”
彼女に出会うまでは。
.
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月23日 20時
