～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ17)

今日:5 hit、昨日:122 hit、合計:549,821 hit

17 ページ17

.

髙橋『へぇ～』

「いや、びっくりしたよ。」

仕事終わりに、

今日は海人とサシ飲みだ。

ぐびぐびとビールを飲んで

おつまみを片手に

話題はというと

「永瀬さんて、案外素直な人なんだよ。」

ずっと気付けば永瀬さんの話だった。

.

話せばちゃんと理解してくれて

真っ直ぐに目を見て返事をしてくれて

不思議な人だけど、ちょっと可愛くて

今までに出会った事のないような人。

髙橋『ただの女好きかと思いきやそうでもない』

「こーら！そんな事言わない！」

髙橋『ハハッ、だってぇ～。』

ただ少し厄介なのは

私以外の看護師や医師には全く目を合わせないし

言葉を発しないという。

髙橋『A、どんな魔法かけたの。』

私もきっかけなんて分からない。

なにがどうなって、あーなったのか。

「まぁ、嬉しいけどね。頼ってくれるのは。」

髙橋『……』

.

.

すると海人は

なにか怪しげな目をして私をじっと見てくる。

「…な、…なによ。」

髙橋『いや～？』

「はい？…言いなさいよ。」

テーブルの下で

わざと海人の足を軽く蹴ってみる。

髙橋『アハハッ、痛い蹴るなよ！』

「早く言って。」

.

髙橋『…いや。なんか

有りがちな展開が予想出来るなぁと思って。』

有りがちな展開？

なにそれ。

.

.

「有りがちな展開って」

髙橋『患者さんと恋に落ちました～、的な？』

「……」

.

ニコニコと笑って言う海人。

私は、

はぁ…と露骨に溜息を吐いて

ビールをまた一口。

「…海人と一緒にしないで。」

髙橋『はぁ？俺そんな事一度もしてないよ？』

「ロッカーに大量の連絡先の紙入ってるじゃん！」

髙橋『あー、あれ？…ふふ、俺モテちゃうから。』

私は思いっきり海人を

睨みつけてやった。

あ、これ奢りだったよね？

よし。1番高い刺身、頼んじゃお。

.